「プロの本音:金融編」シリーズでは、IFA(独立系金融アドバイザー)のみなさんに、IFAになったきっかけや想いなどをお聞きしています。
具体的な相談事例や、ライフプラン・資産運用にお悩みの方へのメッセージもいただいていますので、ぜひご自身の資産運用や、ご相談の参考にしてみてください。
坂上直樹さんがIFAになったきっかけ・想い
-- 本日はよろしくお願いします。まずは坂上さんの自己紹介をお願いします。
FPパートナーズの坂上直樹です。
大学卒業後入社した会社が倒産し、転職など経験しながら資産運用ビジネスの将来性を感じ、29歳の時野村證券のFA社員として入社し、横浜で10年リテール営業を経験しました。
リーマンショック時に多くのお世話になっているお客様にご迷惑をかけ、なんとか資産の回復を目指し提案していましたが、会社の方針との違いで自分が本当にお勧めしたい提案ができず、お客様のために提案するために退社、3年間個人でIFAを経験したあと2014年に今の会社をビジネスパートナーと2人で設立しました。
-- IFAになったきっかけを教えてください。
リーマンショック以前は比較的自由に営業をさせていただいてました。
いわゆるノルマはトータルではありましたが、個別の商品ではあまり縛りはきつくありませんでしたので、仕事は厳しくてもやりがいがありました。
リーマンショック後、会社が大幅な赤字を出し、よりノルマが厳しくなり、かつ縛りもきつくなりました。
お客様の資産を増やし、より良い生活を送ってもらい、自分自身もやりがいを感じる仕事をしたいと思い、社員では難しいと判断し独立することしました。
-- IFAでなければ提供できない価値・サービスとは何でしょうか。
本来であれば、IFAでなければならない理由はないと思います。
しかしながら現状の証券会社、銀行、保険会社の経営体制では本当の顧客本位の営業が難しくなっていると思います。
IFA全体のことはわかりませんが、弊社は会社運営のコストが極めて少ない状態で経営できています。
特に事務所家賃もレンタルオフィスで少なく、また事務員などもいません。
よって損益分岐点が低く、その結果お客様が無駄な手数料をお支払い頂く必要がありません。
純粋にパフォーマンスだけを考えて提案ができます。
月ごとのノルマもありませんので、極端な例をいうと買い付け件数が1件もない月もたまにでます。
また営業時間もフレキシブルで、夜でも土日でもお客様の都合に合わせることができるので、お客様の利便性は高いと思います。
お客様のご要望は様々で「純粋に増やしたい」「色々相談したい」など違ってきますので一律サービスの提供では難しい対応が柔軟にできると思います。
また、当然転勤や担当替えはありませんので、お客様がよろしければ世代を超えてのお伴が可能です。
すべてのIFAがそうであるとは思いませんが、顧客本位の営業をやりやすい環境ではあると思います。
-- IFAとしてお客様と接する中で、嬉しかったことを教えてください。
まず、プライベートなことを話す機会が増えました。
証券会社の人間ではなく、一個人としてお付き合い頂くので、会食なども増えました。
特にコロナ渦では、「あんたに死なれたら困るんだから気を付けてよ」など、資産の変動が激しい最中でも必要としてくれているお言葉が身にしみます。
やはり必要とされていること。感謝されること。頼りにされること。
また、証券会社時代より紹介が増えました。一個人として信用できる人だと紹介されることは本当にうれしいですし、また、しっかりやらなければと身が引き締まる思いでもあります。
IFAとしての特徴・相談内容
-- IFA相談に向いている人、向いていない人はいるでしょうか。また、どういった相談内容、どういう方々からのご相談が多いでしょうか。
相談のレベルは人によって違いますので、ある程度ご自身で投資判断し、補足として情報を聞いたり、専門的な分析を依頼されたりもありますが、やはり運用したいが分からないのでアドバイスがほしいという方が多いです。
資産運用の知識がなく、預金でそのままになっている人や過去に証券会社や銀行で痛い目にあった方などもいます。
年齢は60歳以上の方が多いですが最近は30代~50代の方も増えてます。
金融資産で1000万から1億位までが中心ですが、特に制限を設けてませんし、初めから多額を預けていただく必要もありません。
-- 他のIFAとの違い、特徴、強みを教えてください。
他のIFAさんのスキルや強みを把握しているわけではありませんので、強みになるかわかりませんが、私個人が資産運用が好きでマーケットや経済の動向などを知り、分析し、仮説を立てて投資に生かすことが楽しくてやってます。
趣味でありライフワークです。
20年の経験の中、結果としてお客様の資産を増やしてきたという自負はあります。
もちろん自分のポートフォリオを無理強いする気はなく、お客様一人ひとりと相談の上、ポートフォリオを考えていますので、いま担当しているお客様もそれぞれかなり違ってます。
超ハイリスク型な人もいますし、ガッチガチの低リスクポートフォリオの人もいます。
特にこれと決めてませんので定期的なコミュニケーションの中で見直しも状況に応じで行います。
サポートの頻度もお客様のご要望に応じて行いますが、概ね3か月に1回程度の方が多いです。
2020年の市場急変時には緊急でフォローレターを発送したり、連絡したりもします。
また、不動産仲介業者でもありますので、不動産の相談もある程度は対応可能です。
ライフプラン・資産運用にお悩みの方へのメッセージ
-- 人生100年時代に向けてのライフプランニングとはどのように行えば良いのでしょうか。
2019年に、年金2000万円足りない問題が話題になり、30代40代の方からの問い合わせも増えてきましたが、私の考えは、ライフプランニングは具体的なプランを確認することにより、漠然とした将来の不安をなくし、今を楽しく、未来も楽しく過ごすためのツールだと思ってます。
30代40代の方に「年金ネットって見たことありますか?」と聞くと、ちゃんと自分の年金見込み額を見たことがあるひとは一人もいませんでした。
ましてや、自分たちが預けている年金の運用がどうなってるかGPIFのホームページを見た人も皆無でした。(編集部注釈:GPIFは年金の運用を行う、年金積立金管理運用独立行政法人のこと)
ライフプランニングは正確に細かく作る面倒なものではなく、大まか将来のキャッシュフローを確認して頂き、現状を確認し将来に備えることで、「年金もらえない、年金が枯渇する」などの風評に踊らされないようにすることが重要だと思います。
もちろん少子高齢化で日本の社会保障費は増え、将来負担が増えるのは確実です。
ではどのくらい増えるのでしょうか?こういった社会情勢も踏まえて現状確認して頂ける様アドバイスさせて頂きます。
-- 資産運用の見直しを考えている方、資産運用で困っている方にメッセージをお願いします。
なぜ日本では資産運用が定着しないのでしょうか?
投資信託そのものの問題でななく、販売会社が手数料稼ぎで不必要な売買を不適切なタイミングで行っているようなこともあったため、思うようなリターンが出ていなかった。
つまり販売サイドの問題でしたが、これは私共含めIFAがお役に立てると思います。
もしくは自分で調べる場合でも、情報をインターネットを通じ、かなり充実した情報が得られます。
以前と違い選択肢が多くなり、リターンを得る機会が多くなってきました。
IFAは絶対数がまだ少なく抵抗があるかもしれませんが、20年前、保険ショップが出始めた頃、誰も見向きをしませんでしたが、今はどこの町にもあたり前のようにあり、抵抗なく利用されています。
IFAも、いずれあたりまえの存在になると思っています。
今回お話しを伺ったIFA(FPパートナーズ株式会社)