どのような金融商品にもメリットとデメリットがあります。
毎月分配型の投資信託も同様です。
この記事では、実際に投資信託を保有している人が、毎月分配型の投資信託にどのようなメリット・デメリットを感じているかを見て行きます。
1. 毎月分配型・投資信託の運用イメージ
まず、毎月分配型の投資信託の運用イメージを見てみます。
大まかに言うと、投資信託はファンドが多くの投資家からお金を集め、集まった多額の資金を元に運用を行うことで、収益を得る金融商品です。
投資家は、その収益を次のいずれかの方法で受け取ることができます。
- 定期的に、分配金として受け取る
- 投資信託を売却・償還するときに、基準価額の譲渡益(売買益)を受け取る
- 分配益と譲渡益の両方
このうち、毎月分配型の投資信託は、1の分配金に重きを置いた投資信託です。
同じ毎月分配型であっても商品によって運用方法は異なりますが、1例として運用イメージをあげてみます。
※運用イメージの理解を優先し、加入者が増えることによる資産額の増加は考慮していません。
※現実には、基準価額が全く変動しないことはあり得ないため、少なからず譲渡損益が発生します。
毎月分配型の投資信託は、名前の通りファンドが運用して得られた収益を、毎月投資家に還元するものです。
ファンドからすると、収益を常に還元し続けることになるため、収益によって純資産額を増やすことは難しいと言えます。(純資産額は、投資信託を購入する人が増えることによって増える可能性がありますが、口数が増えるため基準価額は大きく変わりません。)
そのため、投資家は毎月分配金を受け取ることができる一方で、投資信託の売却時に譲渡益(売買益)を受け取ることはあまり期待できません。
また、商品によっては、分配金を支払うために元本を削ることもあるため(特別分配金といいます)、最終的には譲渡損が発生することもあり得ます。
※必ずしも、譲渡損が発生するわけではありません。
ただし、譲渡損については毎月分配型の投資信託に限った話ではなく、分配金がない投資信託であっても発生する可能性はあります。
そのため、金融商品としての投資信託の特性と合わせて、個別商品の特徴や運用方法を把握し、基準価額がどのように変化するかを考えた上で投資を行う必要があります。
次に、実際に投資信託を保有している人が、毎月分配型のメリット・デメリットをどのように感じているかを見ていきます。
2. 投資信託保有者が感じるメリット
まず、投資信託を行なっている人の中で、毎月分配型の投資信託に魅力を感じている人は、やや少ない傾向になっています。
毎月分配型の投資信託に魅力を感じるか | 割合 |
魅力を感じる | 29% |
どちらともいえない | 32% |
魅力を感じない | 39% |
ただし、3割近くの方は魅力を感じているので、決して少ないわけではありません。
次に、具体的にどのような点を魅力的に感じているか、どのような点が魅力的でないかを見ていきます。
先に魅力を感じる理由についてです。
魅力を感じる理由 | 割合 |
分配金を受け取ることで安心できる | 60% |
毎月利益を確定したいから | 55% |
年金収入を補完することができる | 20% |
他に魅力的な金融商品がなかった | 4% |
その他 | 1%未満 |
投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書(2020年)」を元に、Route100編集部制作
この中で、投資行動として合理的だと考えられる理由は、3つ目の「年金収入の補完」です。
例えば、年金で生活する無職の夫婦2人世帯では、平均で生活資金が毎月5.5万円足りないという調査結果があります。
そのため、老後の生活資金源として、毎月分配型の投資信託を活用することは選択肢の1つとして有効かもしれません。
一方で、安心・利益を確定したいという理由については、再考する必要があるかもしれません。
例えば、保有している投資信託に利益が出ているかどうかは、現在ではインターネットのサイトでリアルタイムで常に確認することができます。
また、利益の確定については、先ほどの運用イメージでお伝えした通り、分配金を受け取ることができても最終的に譲渡損が発生することもあります。
特に若い世代の方は、目先の分配金だけでなく、トータルの損益を考える必要があります。
次の、魅力に感じない点を見ることで、長期視点での観点が理解できます。
3. 毎月分配型のデメリット
最後に、毎月分配型の投資信託に魅力を感じない理由を見ていきます。
魅力を感じない理由 | 割合 |
分配金の額だけ基準価額が下がるから | 24% |
分配金は必要ない | 20% |
長期投資に合わない | 20% |
分配金が少ない | 18% |
分配金で元本の一部が払い戻されるケースがある | 14% |
複利効果が得られない | 14% |
分配金が変動するケースがある | 12% |
その他 | 14% |
投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書(2020年)」を元に、Route100編集部制作
意見がさまざまな理由に別れていますが、おおむね分配金によって純資産額が下がることに端を発しています。
純資産額が下がると、次のような影響が発生します。
- 純資産額の減少は、そのまま基準価額の減少に直結し譲渡益が減る、または譲渡損が生じる
- 純資産額が下がると、投資に使える資金が少なくなる
- 投資資金が少なくなることで、長期的な収益力が下がる可能性がある
このように、長期投資を考えている人にとっては、毎月分配型の投資信託は魅力を感じられない金融商品だと言えます。
一方で、魅力を感じる点で見てきた通り、年金受給世帯などにとっては活用方法もあると考えられます。
毎月分配型の投資信託に限らず、投資の目的に合わせた商品選択が必要だと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
分配型の投資信託は、定期的に分配金を受け取ることができるため、生活資金の収入源として考えることができます。
一方で、長期投資に向いている金融商品だとは言えないため、目的に応じて使い分ける必要があります。
実際に「毎月分配型の活用方法について相談したい」「現在保有している投資信託について、見直しの相談がしたい」、「長期運用に向いた投資信託を教えて欲しい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?
相談料は無料ですので、実際に投資・資産運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。
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※この記事は、一般的な投資信託の特性を説明することを目的としています。
※投資信託の活用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。