人生をHAPPYにプロデュース!あなただけのマネープランを届けるファイナンシャルアドバイザーの戸松優子です。
2019年、金融庁の報告書により「老後資金が2000万円不足する」と公表され、大きな話題となりました。
皆さんは、老後に必要なお金の備え、既にされていますか?
老後資金づくりを計画的に取り組んでいる人の割合は、54%という調査結果があります(日経生活モニターに登録する男女、有効回答716人を対象に2019年6月下旬に実施)。
「意識はするが計画的ではない」という人も33%おり、老後資金よりも足元で必要なお金がある30~40代では、この回答が一番多かったです。
「退職後、公的年金以外に世帯でいくら必要か」を聞いたところ、「2000万円以上3000万円未満」が最も多く21%、「考えていない」が18%、「3000万円以上4000万円未満」が16%と続く結果でした。
「必要ない」とした人は4%にとどまり、全体で見ると「2000万円以上必要」とする人が62%を占めていました。
ライフスタイルによっても計画状況や不足額は変わってきます。
人生100年時代には、老後の備えを計画的に準備することと、老後資金をできるだけ長持ちさせる取り崩し方も重要になってくるのではないでしょうか。
老後の収入源は限られています。
今回は、公的年金の受給額がどれくらいもらえるのか、世帯例別に確認し、対策を考えていきましょう。
1. 年金受給額
1) もらえる公的年金は何?
公的年金とは、国が行う年金のことで、日本では「国民皆年金」といって、20歳以上60歳未満の全ての国民が公的年金に加入することになっています。
公的年金は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類あります。
働き方によって加入する年金が違います。
老齢基礎年金は国民全員が受け取れますが、会社員、公務員、教員、船員などの対象者は、老齢厚生年金も受け取れます。
加入する年金 | 受け取る年金 | 対象者 |
国民年金 | 老齢基礎年金 | 自営業者、学生、専業主婦 |
厚生年金 |
老齢基礎年金+老齢厚生年金 |
会社員、公務員、教員、船員など |
2) いつからもらえるの?
老齢基礎年金は、国民年金の加入者が対象となります。年金保険料を納付(もしくは免除手続き)をしていれば、男性は昭和36年4月2日以降、女性は昭和41年4月2日以降に生まれた方は、65歳から老齢年金を受け取れることになります。
3) いくらもらえるの?
国民年金の場合
保険料納付期間 | 年金額 | 月額 |
40年 | 77.93万円 | 6.49万円 |
35年 | 68.19万円 | 5.68万円 |
30年 | 58.45万円 | 4.87万円 |
25年 | 48.71万円 | 4.06万円 |
※日本年金機構「平成29年4月分からの年金額について」より試算
※100円以下は四捨五入
厚生年金の場合(平均収入30万円で試算)
保険料納付期間 |
年金受給額(老齢基礎年金含む) |
月額 |
10年 | 104万円 | 8.67万円 |
20年 | 130万円 | 10.83万円 |
30年 | 155万円 | 12.92万円 |
40年 | 181万円 | 15.08万円 |
※日本年金機構ホームページの年金額(H29年4月分~)計算式により、60歳到達時の加入年数に応じて試算
※国民年金の加入期間は、40年で計算
※平均給与月額をもとに計算、年金受給額は1,000円以下を四捨五入
※月額は100円以下を四捨五入
上記試算表は、平均収入を月30万円で試算しましたが、目安の金額ですので、収入が変われば年金額も変わります。
2. 世帯パターン別の年金受給額
では、これをもとに65歳からの年金受給額はいくらになるのか、パターン別に考えてみましょう。
1)夫:会社員(厚生年金)✖ 妻:会社員(厚生年金)
厚生年金加入期間 | 平均月収 | 年金受給額/年 | |
夫 | 40年 | 30万円 | 181万円 |
妻 | 40年 | 20万円 | 147万円 |
合計 | 328万円 |
夫婦2人の年金受給額の合計は、月額換算すると、約27.33万円になります。
2)夫:会社員(厚生年金 ✖ 妻:主婦(国民年金)
加入期間 | 平均月収 | 年金受給額/年 | |
夫 | 厚生年金40年 | 30万円 | 181万円 |
妻 | 国民年金40年 | ー | 77.93万円 |
合計 | 258.93万円 |
夫婦2人の年金受給額の合計は、月額換算すると、月額約21.58万円になります。
3)夫:自営業(国民年金)✖ 妻:主婦(国民年金)
国民年金加入期間 | 年金受給額/年 | |
夫 | 40年 | 77.93万円 |
妻 | 40年 | 77.93万円 |
合計 | 155.86万円 |
夫婦2人の年金受給額の合計は、月額換算すると、月額約12.99万円になります。
4)独身の会社員(厚生年金)
厚生年金加入期間 | 平均月収 | 年金受給額/年 | |
独身会社員 | 40年 | 30万円 | 181万円 |
年金受給額の合計は、月額換算すると、月額約15.08万円になります。
3. ゆとりのある老後生活には、いくら必要?
前章では世帯別の年金受給額の目安を紹介しました。
では、ゆとりのある老後生活にはどれくらい必要だと思いますか?
世帯年収 | ゆとりのある老後のために必要と思われる日常生活費 |
---|---|
300万円未満 | 32.3万円 |
300~500万円未満 | 33.8万円 |
500~700万円未満 | 35.3万円 |
700~1,000万円未満 | 35.8万円 |
1,000万円以上 | 40.5万円 |
全体 | 34.9万円 |
出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査(平成28年度)」より
実は、ゆとりのある老後のために必要な生活費は、平均で毎月34.9万円となっています。
前章でご紹介した世帯例の年金受給額では、どの世帯だとしても足りません。
また、高齢夫婦無職世帯の現状の平均月収は、約22.28万円です(総務省の2018年度家計調査年報 夫婦高齢者無職世帯より)。
つまり、ゆとりある生活をしようと思うと、「ゆとりある生活費34.9万円」と「高齢夫婦無職世帯の現状の平均月収22.28万円」の差額12.62万円が足りないため、毎月12万円以上貯蓄から切り崩す必要があります。
仮に20年間ゆとりある生活をしようとする場合、毎月12万円×12ヶ月×20年で2,880万円必要ということです。
加入期間や収入、パートナーの働き方によって受給額は変わりますのであくまで参考値ですが、不足額があると思われる場合は備えが必要です。
また、2019年時点の日本人の平均寿命は、女性が87.45歳、男性が81.41歳で、いずれも過去最高を更新しました(厚生労働省「2019年簡易生命表の概況」より)。
女性が7年連続、男性が8年連続の更新とのことなので、今後も益々寿命は延びていくと思われますので、より必要となる額が増えることを見越して準備しましょう。
4. 老後資金の対策の仕方とは
1)iDeco(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度の1つです。
メリット1. 掛け金が全額所得控除
iDeCoは、掛金が全額所得控除されるので、該当年度分の所得税と翌年の住民税が軽減されます。
メリット2. 利息・運用益が非課税
通常、投資信託や預金によって利息・運用益が出たら、税金が差し引かれます。
一方、iDeCoで運用した場合は、利益・運用益がでた場合でも税金がかかりません。
メリット3. 受取時も一定額まで税制優遇あり
iDeCoは、一括受け取り(一時金)か分割受け取り(年金)、もしくはその併用から選びます。
どれでも、各種控除の対象となるので一定額まで税金がかかりません。
1点、注意すべきは、60歳まで原則引き出しができないことですが、もともと老後資金の準備なので問題ありませんよね。
2)つみたてNISA
つみたてNISAとは、2018年1月から始まった少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
利用できる方 |
日本にお住まいの20歳以上の方(口座を開設する年の1月1日現在) |
---|---|
非課税対象 | 一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益 |
口座開設可能数 | 1人1口座 |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年40万円が上限(非課税投資枠は、20年間で最大800万円) |
非課税期間 | 最長20年間 |
投資可能期間 | 2018年~2037年 |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
メリット1. 運用益が20年間非課税
メリット2. 商品が多すぎないため選びやすい
メリット3. 小額から投資可能 ※楽天証券の場合100円から積み立て可能
投資信託での運用となるため元本保証がありませんが、長期で積立・分散投資をしていけば元本割れの可能性は低くなる傾向にあります。
3)個人年金保険
個人年金保険とは、老後の経済的な安定とゆとりのある生活を送るために、公的年金や会社の企業年金などでは不足する部分を自分で用意する私的年金のことをいいます。
毎月一定の金額の保険料を納めることで、契約時に定めた時期から、年金または一時金として保険金を受け取ることができます。
現在、国民年金の受け取り開始年齢は65歳で、厚生年金は61歳から65歳へと段階的に引き上げられています。
メリット1. 個人年金保険料控除が受けられる
メリット2. 商品によるが、運用次第で受け取る年金額が変わる
メリット3. 引き出しが簡単にはできないことから強制力がある
注意すべきは、短期で解約をすると支払った保険料よりも、解約金が少なくなる可能性があるということですが、老後のための積立なので問題ありませんよね。
5. 人生100年時代に向けて
「人生100年時代」となった今、老後の備えはこれまで以上に計画的に取り組む必要があります。
公的年金だけでは、ゆとりのある生活は難しいことを理解できたと思います。
おおまかな受給年金額を知ったうえで、自分に合った有利な制度(iDeCo・つみたてNISA・個人年金保険)を活用し、不足額を貯めるための準備を始めましょう。
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