みなさんはIFAをご存知でしょうか?
はじめて聞いた人も多いと思います。
IFAは証券会社に所属せず、中立的な立場でお金のアドバイス・資産運用をしてくれる専門家です。
アメリカやイギリスを中心に発達した仕組みで、両国では広く普及した存在になっています。
一方で、日本人の多くは、投資というとインターネットで自分で取引するか、証券会社の営業マンと契約をするイメージが強いのではないでしょうか?
そういった投資方法と何が違うのでしょうか?
IFAの特徴、他の投資方法との違いを学んでみましょう。
1. 投資・資産形成の方法
まず、そもそもなぜ投資・資産形成を行う必要があるのでしょうか?
それは、長寿化や少子高齢化を背景に、私たちは「自分の100年人生」を豊かにするために、老後資金を蓄える必要があるためです。
この背景をもっと知りたい方はこちらの記事もどうぞ。
では、投資・資産形成にはどういった方法があるでしょうか?
大きく分けると3つのやり方があります。
- 自分で投資・運用する
- アドバイザーに相談する
- 運用を委ねる(任せる)
それぞれの特徴を見ていきましょう。
(1)自己投資
自己投資は、一定の時間を資産運用に割くことができ、かつ自分で勉強・情報収集・分析することが好きな人におすすめです。
投資でリターンを得るには、常にリスクが伴います。
そして、そのリスクとリターンは、投資する金融商品・やり方によって大きさが変わってきます。
そのため、自分で運用する場合は、投資対象の金融商品のことを十分に把握する必要があります。
また、金融商品の価値は世の中の動向によって変わってきますので、経済状況や世の中の流れに常にアンテナを張って、投資や売却のタイミングを判断することも重要です。
そうしたことから、自己投資には労力が掛かるため、投資・資産運用に時間を割ける・得意な人におすすめの方法です。
(2)アドバイザーに相談する
アドバイザーに相談して運用する方法は、投資の初心者から上級者まで多くの人におすすめできる運用方法です。
多くの人は仕事や趣味を持ちながら、その傍らで資産運用をすることになると思います。
あまり多くの時間を割けない中で、資産運用を行うことは簡単ではありません。
そうした場合に、専門家のアドバイスを受けることは非常に有効な手段です。
相談先には、この記事で紹介する「IFA(独立系金融アドバイザー)」の他に、「FP(ファイナンシャルプランナー)」「銀行」「証券会社」「プライベートバンク」があります。
このうち、IFAと証券会社、プライベートバンクは、資産運用の相談に加えて運用自体を任せることもできます。
(3)運用を委ねる(任せる)
運用を委ねる方法は、資産運用そのものを専門家に任せる運用方法です。
ただし、完全に丸投げしていいという意味ではありません。
資産運用は、将来や老後資金のために行うものです。
そのため、1人1人のライフスタイルや将来の夢・目標、年収や保有資産によって、どのように行なっていくべきかが異なります。
そうしたことから、ライフプランと合わせて、どうやっていつまでにいくらの資産を作るのかを相談し、ファイナンシャルプランを作る必要があります。
そのファイナンシャルプランに沿って、資産運用をある程度任せることができます。
ただし、自分の資産ですので任せっきりはいけません。
定期的にプラン通りに資産が増えているかを確認し、見直しを行う必要があります。
2. IFAとは、中立的な立場である独立系金融アドバイザーのこと
では、IFAとはどういった存在なのでしょうか?
IFAはIndependent Financial Advisorの略で、独立系金融アドバイザーとも呼ばれます。
IFAはイギリス・アメリカを中心に発達した仕組みで、金融機関(銀行や証券会社)から独立して、幅広く金融商品を紹介できるプロのアドバイザーのことを指します。
イギリスでは2.6万人、アメリカでは12.7万人が登録されている一方、日本での登録人数は2020年6月時点で約4,000人とまだ足りていない状況です。
日本のIFAは、事業所ごとに内閣総理大臣から金融商品仲介業の認可を得ることで、IFA業務を行うことができます。
IFAの特徴
- 中立的な立場でアドバイスを行うことができる
- 証券会社の商品に依存しない、幅広い商品の中から提案ができる
- 実際の資産運用や売買を委託できる
この特徴を仕組みの面から見てみましょう。
IFAの仕組み
IFAを仲介して取引を行う場合に、登場するのは3者です。
- 投資家(私たち)
- IFA(独立系金融アドバイザー)
- 証券会社
- 私たち投資家が行うことは、IFAへの「相談」と「取引依頼」、証券会社の「口座開設」「資産預け入れ」です。
- IFAは、私たちからの相談内容に応じて、ファイナンシャルプランと金融商品の提案を行います。その内容が合意し取引依頼を受けたら、証券会社に対して取引の指示を行います。
- 証券会社は、取引の指示に従って金融商品の売買を行い、私たちの口座(資産と証券)を管理し、IFAに対して手数料を払います。
つまり、私たちはIFAに資産を預けるわけではなく、あくまで証券会社の「自分の口座」で資産を管理し、運用します。
そのため、仮にIFAや証券会社が倒産してしまったとしても、私たちの資産には影響がありません。
証券会社には分別管理と言って、会社のお金と投資家のお金を分けて管理することが義務付けられています。そのため、証券会社が倒産しても私たちのお金は守られます。
また、私たちは取引に対する手数料をIFAに支払うこともありません。
図のように、IFAには証券会社から手数料が支払われます。(ただし、IFAによっては相談料などが発生する場合がありますので、料金体系は確かめる必要があります。)
この仕組みから、IFAは「証券会社に依存せず」に「中立的なアドバイス」と「資産運用」を行うことができます。
3. IFA相談と他の投資方法との違い
では、IFA相談は他の投資方法にはどういった違いがあるでしょうか?
まずは自己投資との違いを見てみましょう。
(1)IFA相談と自己投資の違い
自己投資については、冒頭「1. 投資・資産形成の方法」で、勉強・情報収集・分析することが好きな人におすすめと言いました。
IFA相談と自己投資の大きな違いは、資産運用に掛ける労力と自分でリスクをコントロールできるかです。
IFA相談で運用する場合、自己投資よりは多少手数料が高くなります。
そのため、自分でしっかり運用できる人は自己投資することでコストメリットが得られます。
一方で、金融商品や個別の銘柄について、調べる時間がない・知識が足りないといった人には、IFA相談をおすすめします。
きちんと理解せずに金融商品を購入すると、どうしてもリスクが高くなります。
また、市場の下落は数年ごとにどうしても起きてしまいます。
ITバブル崩壊前の2000年3月末の日経平均株価は約20,337円でした。
その後、ITバブル崩壊後の2003年、リーマンショックによる金融危機の2008年、どちらのときも日経平均株価は7,000円代まで落ち込みました。
このようなときに、1人で冷静な判断をすることは容易ではありません。
自分の知識で商品を選び・判断する自信がない人、何かあったときにプロに相談したい人は、1度IFAに相談してみてはいかがでしょうか。
(2)IFA相談とロボアドバイザーの違い
次に、ロボアドバイザーとの違いを見てみましょう。
結論から言うと、アドバイザーという名称が付いていますが、少なくとも2020年10月時点では、
ロボアドバイザーは、他の金融商品とのバランスなども含めて、1人1人の状態に合わせてアドバイスをくれるサービスではありません。
その点が大きな違いです。
まず、ロボアドバイザーは、インターネット上で投資や金融商品を提案してくれたり、運用を代行してくれるサービスのことで、「アドバイス型」と「投資一任型」の2つの種類があります。
1つ目の「アドバイス型」は、いくつかの簡単な質問に答えると、その内容に適した金融商品を提案してくれます。こちらのタイプは、投資信託選びを中心に、多くの証券会社が提供しています。
ただし、こちらのタイプは最終的な金融商品の選択と売買、運用の見直しは自分で行う必要があります。
そのため、自己投資の補助として活用するのに適しています。
2つ目の「投資一任型」は、金融商品の選択・売買から運用までを代行してくれるサービスです。ロボアドバイザーと聞いたときに、多くの人がイメージするのは、この投資一任型ではないでしょうか?
投資一任型のメリットは、知識がなくても少額で始められて、手間が掛からないことです。
ただし、ロボアドバイザーは基本的に「長期運用」「積立」を前提にした投資方法です。
数年で解約した場合はその恩恵が小さくなってしまいます。
そのため、自分に適しているかどうかを、始める前にきちんと考える必要があります。
(3)IFA相談と他のアドバイザーの違い
IFA以外の投資相談先には、「FP:ファイナンシャルプランナー」「銀行」「証券会社」「プライベートバンク」があります。
これらのサービスと比べたときのIFAの特徴は、投資可能な商品の制限がないため、フラットな商品提案ができることです。
IFAを基準に、それぞれのアドバイザーと比較してみます。
※プライベートバンクは保有資産1億円以上が目安であり、基本的に紹介性の特殊なサービスであるため、ここでは比較対象外としています
FP:ファイナンシャルプランナーとの違い
FPは総合的なアドバイスを行うことはできますが、具体的な金融商品の提案や資産運用を行うことはできません。
ただし、生命保険の中には外貨建ての保険など、投資性の強い保険商品もあります。
そういった、保険にあたる商品の提案は行うことができます。
そのため、資産運用やリスク低減のためにどのようなことに気をつけるべきかはアドバイスをもらうことができますが、保険以外の具体的な投資の種類や商品、売買のタイミングは自分で決めて運用する必要があります。
そのため、実際に投資を行う上では、自己投資に近い状態になります。
ただし、会社名や自己紹介にFPが付いていても、金融商品仲介業の資格を持っている場合はIFAと同じ立場になります。
銀行との違い
銀行の固有業務は「預金、貸出、為替」であり、金融商品の販売は「固有業務の遂行を妨げない限度において」行うことができると、銀行法で定められています。
そのため、銀行で取り扱う金融商品は、比較的シンプルな金融商品である「投資信託」「債券」「外貨預金」の3つが中心です。
また、証券会社と比べると取り扱う商品の数が少ないです。
証券会社との違い
証券会社は、銀行に比べると選択肢の幅が広がりますが、取引する証券会社の商品に限定されます。
例えば、投資信託の数はネット証券の楽天証券・SBI証券は2,600件以上ありますが、大和証券は538件、みずほ証券は114件と取り扱い件数に大きな開きがあります。(2020年10月20日時点)
そのため、よりフラットな提案を受けたい場合にはIFAが選択肢になります。
また、IFAは地域に根ざした企業が多く、転勤や異動が少ないため、長期的に資産運用の相談ができることも証券会社との違いだと言われています。
この点はIFAの本国イギリスでも同様です。
4. IFAにはどうやって相談したらいい?
このサイトでは、IFAの紹介と相談も行なっています。
相談したからといって、金融商品を買わないといけないことはありません。
まずは、資産運用やファイナンシャルプランについて、お気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事ではIFAのことをお伝えしてきました。
- 投資のやり方には「自己投資」「相談して運用」「運用を委ねる」の3つがある
- IFAとは、中立的な立場である独立系金融アドバイザーのこと
- IFA相談と他の運用方法の違い
- IFA相談をすると、自己投資に比べて労力とリスクが下げられる
- ロボアドバイザーは、個別のアドバイスまではできない
- IFA相談をすると、FP・銀行・証券会社よりもフラットに幅広い提案を受けられる
IFAは、資産運用や「あなたらしい人生100年」を手助けしてくれます。
ぜひ1度相談してみましょう。