みなさんは債券投資を行なっていますか?
私たちは人生100年時代を生きていく上で、将来や老後に向けて資産形成・資産運用を行っていく必要があります。
一方で、現在は銀行預金の金利が非常に低く、預金で資産を増やすことはできません。
資産を増やすためには投資を行う必要があります。
その投資の手段の1つが債券投資です。
一言で債券と言ってもいくつかの種類があります。
債券投資について学んで、あなたの投資に取り入れてみましょう。
1. 債券投資とは
債券投資とは、国や企業にお金を貸すことによって利子を得る投資です。
株式投資や投資信託の場合、事前に金利は分かりません。
一方で、債券投資の場合、債券自体に金利が定められていますので、1年後にいくらもらえるかの目処が立ちます。
この点が大きく異なります。
では、債券投資はどのくらいの人がやっているのでしょうか?
また、その仕組みはどうなっているのでしょうか?
債券投資の実施状況
全体における、債券の保有率は2018年時点で2.6%(*1)です。
なんらかの投資をしている人の中で、債券投資を実施している人は13.0%(*2)です。
株式投資は約80%、投資信託は約50%の人が取り入れていることを考えると、債券投資の実施率は低いと言えます。
*1 日本証券業協会「平成30年度 証券投資に関する全国調査(個人調査)」
*2 日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査について 2019年」
債券投資を実施する人が少ないのはなぜでしょうか?
日本国債の年利が下がっていることが、1つの理由として考えられます。
日本国債の年利は国の政策金利と連動します。
1988年時点では日本国債の年利は6%を超えていました。
それが2000年には1.7%まで下がり、2018年には0.05%まで下がっています。
それに合わせて、国債の保有率も徐々に下がって来ています。
ゆうちょ銀行やメガバンクの預金金利よりは高いですが、日本国債は金利の面では魅力が少ない金融商品だと言えます。
一方で、債券投資には安全性が高いというメリットがあります。
債券投資はなぜ安全なのでしょうか?
その仕組みを見てみましょう。
債券投資の仕組み
債券投資の仕組みはシンプルです。
お金を借りたい人(債券発行者)は金利や期間などの条件を提示して、お金を貸してくれる人(投資家)を募集します。
その条件で貸してもいいと思った投資家は、お金を貸す代わりに利子を受け取ることができます。
債券投資が安全だと言われる理由は2つです。
- 債券は借金なので、発行者は返済する義務がある
- 債券発行者が国や地方自治体である場合、破綻のリスクが低い
ただ、このことから分かる通り、すべての債券が安全だという訳ではありません。
「債券発行者が誰か」が重要です。
また、国債の金利が低いことを紹介しましたが、債券によって金利も違うため、実際には金利が高い債券もあります。
そのため、リスクと金利のバランスをみて、資産に組み込むことを考えてみましょう。
具体的に、債券の種類を見てみましょう。
2. 債券の種類
債券の種類は、債券発行者によって分類されます。
- 公債(国や地方自治体などの公的機関が発行)
- 社債(民間企業が発行)
公社債はこの2つの総称です。
また、海外で発行された債券に投資することも可能で、その場合以下の名称で呼びます。
- 外貨建て債券(海外の通貨で取引する債券)
- 円建て外国債券(海外で発行された債券を、円で取引する金融商品)
それぞれの特徴を見ていきましょう。
(1)公債
国、地方自治体、政府関係機関が発行する債券です。
公債の特徴
- 信用度が高く安全(利子と元本が国によって保証されている)
- 他の債券に比べて金利が低い
国や地方自治体が利子と元本を保証しているため、信用度が高いことが最大の特徴です。
国の経済が破綻するデフォルト(債務不履行)が起こらない限り、利子や元本が支払われないことはありません。
公債の中で最もメジャーな債券が国債です。
国債には、5万円単位で購入できる「利付国債」と、1万円から購入できる「個人向け国債」があります。
また、国債以外には、地方自治体が発行する公募地方債と、政府関係機関が発行する政府保証債があります。
(2)社債
企業・会社が発行する債券です。
社債の特徴
- 公債より金利が高い
- 株と違い、企業が倒産した場合にも返済義務がある
- 公債に比べるとリスクが高くなるため、企業の信用度を確認する必要がある
国に比べると倒産のリスクが高いため、一般的に金利は公債より高くなります。
また、株式投資は企業への出資であるため、企業は投資家に対して支払いをする義務はありません。
企業が利子などを払うことはなく、投資家は株を第3者に売却することで利益を得ます。
一方で、債券は借金であるため、債券を購入した投資家は債権者になります。
そのため、企業が倒産した場合でも借金を返済してもらう権利があります。
ただし、企業が倒産した場合、残りの資産を債権者全体で分ける債務整理が行われるため、全額戻ってくる可能性は低いと考えられます。
そのため、社債を購入する際には、その企業が信用できるか・倒産リスクが低いかを確認する必要があります。
(3)外貨建て債券
外貨建て債券は、海外で発行された債券を現地通貨で保有する金融商品です。
外貨建て債券の特徴
- 日本の債券よりも高い金利を得られる可能性がある
- 為替リスクがある
外貨建て債券にも、日本と同じように公債と社債があります。
日本の国債は金利が低いとお伝えしましたが、海外には高金利の国もあります。
各国の政策金利
- 日本 :-0.1%
- ヨーロッパ:0%
- アメリカ :1.75%
- 中国 :4.35%
- 南アフリカ:6.25%
- トルコ :11.25%
※それぞれ2020年1月時点の政策金利(政策金利とは、国の中央銀行が一般の銀行にお金を貸し出す際の金利のことで、国債や銀行預金の金利は政策金利に連動)
※2020年11月までに、多くの国がコロナによる経済影響を受けて政策金利を引き下げています
このように、新興国の中には非常に高い金利を持つ国もあるため、外貨建て債券を保有することで高い金利を得られる可能性があります。
ただし、外貨建て債券を行う際には2つのリスクを認識しておく必要があります。
- デフォルト(債務不履行)のリスクがある
- 為替リスクがある
海外の債券でも、国債であればその国自体が保証をしているため、安全性は比較的高いです。
ただし、デフォルトの可能性が低いとはいえ、ゼロではありません。
実際に、2020年5月にはアルゼンチンがデフォルト(国債に対する利子の支払い遅延)を起こしているので、リスクがあることを認識しておく必要があります。
また、外貨で資産を持つことになるため、購入時と売却時の為替の差が生じます。
例えば、先ほどの政策金利を見るとトルコは11.25%と非常に高い金利になっています。
しかし、トルコの通貨であるトルコリラは2015年1月には約52円でしたが、2020年10月には約13円まで円高トルコ安が進んでいます。
仮に1,000トルコリラ持っていた場合、日本円に換算すると52,000円だったものが、4分の1の13,000円まで下がっていることになります。
この状態では、いくら金利が高くても利益を出すことはできません。
逆に円安になっていた場合は為替差益を得ることができますが、為替の動きは予測が難しいためリスクとして認識しておく必要があります。
例えば、株式投資であれば、決算報告により業績の予測が発表されますし、また経済が好況のときには多くの企業の株価が上昇します。
しかし、為替はあくまで通貨同士の相対価格であるため、通貨全体で見ると総和はゼロになります。
経済状況や政治の情勢、資源の開発や長期的な国の成長など、様々な要素が影響してくるため、為替を予測することは難しいと言えます。
(4)円建て外債
円建て外債の特徴
- 日本の債券よりも高い金利を得られる可能性がある
- 為替リスクがない
外貨建て債券が為替リスクを持つのに対し、円建て外債は円で取引をするため為替リスクがありません。
円建て外債は海外での呼び名から、サムライ債とも呼ばれます。
債券自体は海外で発行されたもので、それを海外の証券会社などが日本で販売している金融商品です。
そのため、デフォルトのリスクは外貨建て債券と同じですが、為替リスクをなくしたい場合の選択肢になります。
ここまで、債券の種類を見てきました。
最後に、実際に債券投資を行う際の注意事項を見てみましょう。
3. 債券投資を行う上で気をつけること
債券投資を行う上で気をつけることは3つです。
- 債券を満期まで保有する
- 自分に適した金利の債券を選ぶ
- リスクを分散する
(1)債券投資は満期まで保有する
債券には元本を返す日が定められています(満期償還日)。
満期の前に債券を売ることはできますが、その場合は市場の取引価格での売買になるため、損失が発生する可能性があります。
債券投資のメリットは、元本を保証して利子がもらえることですので、その期間持ち続けられる資金で運用することが望ましいです。
(2)債券投資は自分に適した金利の債券を選ぶ
債券の種類でご紹介したように、債券には国債のように手堅いが金利は0.05%のものから、金利10%を超えるがリスクも高い外国債まで幅広い金融商品があります。
お金には多ければ多いほど増えやすい性質があります。
例えば、100億円を国債0.05%で運用した場合は、1年間で500万円の利益が得られます。
しかし、100万円を運用した場合に、1年間で得られる利益は500円です。
資産形成に向いた商品とは言えないため、リスクと金利のバランスを考えて商品を選ぶ必要があります。
(3)投資はリスクを分散する
投資の基本は「分散投資」です。
外貨建て債券で取り上げたトルコのように、多くの資産をトルコ国債で持つことはリスクが高いです。
しかし、外貨建て債券もヨーロッパ・アメリカ・アジアなどのように多くの国に資産を分けて持つと、為替リスクも小さくなります。
また、自分で複数の資産に分散しなくても、海外の債券を組み込んだ投資信託やETFもあります。
これらの点に注意して、ぜひ自分に合った金融商品・組み合わせを見つけてみてください。
また、「自分に合った債券投資を知りたい」「おすすめの債券を教えて欲しい」「投資について相談したい」という方は、1度アドバイザーに相談してみましょう。
相談したからといって、必ずしも申し込みなどを行う必要はありません。
まずは気軽に相談してみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では以下のことをお伝えしてきました。
- 債券投資は、国や企業にお金を貸すことによって利子を得る安全性の高い投資
- 債券投資には色んな種類があり、金利が高い金融商品もある
- 債券投資を行うときは、「リスクを分散して」「自分に適した金利の債券を選び」「満期まで保有」する
債券投資は「あなたらしい人生100年」を手助けしてくれる、有用な資産形成・資産運用の手段です。
ぜひ、あなたの資産形成・資産運用に取り入れてみてください。