証券会社に所属する外務員の人数は、バブル崩壊前の1989年がピークでした。
2000年以降はリーマンショックと、それに続く東日本大震災の影響を受け、登録人数が減少する時期もありましたが、概ね7万人台で安定しています。
一方で、インターネット証券が広がっており、2020年にはSBI証券の口座数がはじめて野村證券の口座数を上まりました。
また、2003年の証券取引法改正によって、2004年4月1日から金融商品仲介業で有価証券などの売買が行えるようになりました。
この記事では、証券会社に所属する外務員数の推移と、金融商品仲介業であるIFAの外務員数の推移を見比べてみたいと思います。
1. 証券会社の登録外務員数の推移
先ほども触れたように、2000年以降、証券会社の登録外務員数は75,000人前後で推移しています。
日本証券業協会「協会員の従業員数等」を元にRoute100編集部制作
年代によって、大きく次のような傾向が見られます。
- いわゆるITバブル崩壊の影響で、2000年代前半は減少傾向
- 2000年代後半に回復するものの、2008年のリーマン・ショックにより再度減少傾向に(2008年9月に起こったリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻がきっかけ)
- 続く2011年の東日本大震災の影響で、継続的に減少
- その後、2012年を底に増加の傾向
こうして見ると、証券会社の登録外務員数は、景気の影響を受けていることが分かります。
ただし、直近2017年以降の減少は少し理由が違うかもしれません。
次の2つの観点から考えてみたいと思います。
- ネット証券の口座数が増えている
- IFA:金融商品仲介業の外務員が増えている
2. ネット証券の口座数が増えている
証券会社には、大きく「対面証券」と「ネット証券」があります。
このうち、大きく口座数が増えているのがネット証券です。
2020年には、ネット証券の代表であるSBI証券の口座数が、対面証券の代表・野村證券の口座数を上回りました。
対面証券の口座数が減少しているわけではないため、証券会社の外務員数が減少する直接的な要因ではないかもしれません。
ですが、これだけネット証券が広がりを見せているため、何らかの影響はあると考えるのが自然かもしれません。
3. IFA:金融商品仲介業の登録人数が増えている
IFAは Independent Financial Advisor の略で、日本語では「独立系金融アドバイザー」と呼ばれています。
銀行や証券会社から独立し、中立的な立場でアドバイス・商品の提案ができるとされています。
2003年の証券取引法改正で、2004年4月1日より、金融商品仲介業者が有価証券などの売買を行うことができるようになりました。
このIFAの登録人数が、2017年以降に毎年300〜400人超のペースで増えています。
日本証券業協会「金融商品仲介業者の登録外務員数の推移」を元にRoute100編集部制作
2017年以降の変化を見ると、次のようになっています。
年 | 登録人数 | 増減数 | 増加率 |
2017年 | 3,123 | +19 | 101% |
2018年 | 3,455 | +332 | 111% |
2019年 | 3,833 | +378 | 111% |
2020年 | 4,264 | +431 | 111% |
また、実際に金融庁のIFA10社への調査から、IFAの前職は証券会社だったと回答する人が多いことが分かっています。
前職 | 人数 | 比率 |
証券会社 | 238 | 65.4% |
保険会社 | 44 | 12.1% |
銀行 | 28 | 7.7% |
その他 | 54 | 14.8% |
金融庁「市場ワーキング・グループ(第22回)事務局説明資料」より
このことから、証券会社に所属する証券外務員の減少と、IFAの人数増加には因果関係があると考えられます。
この背景には、私たち個人投資家のIFAニーズの増大があるのかもしれません。
この点は別の記事で取り上げてみたいと思います。
また、IFAについて詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてどうぞ。
まとめ
この記事では以下のことを見てきました。
- 証券会社の登録外務員数が、2017年以降、微減の傾向にある
- ネット証券の口座数が大きく増えている
- 金融商品仲介業の登録外務員数が、特に2017年以降に増加の傾向が見られる
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