金融リテラシーが高い人ほど、年収と保有資産額が高くなるというデータがあります。
金融リテラシーとは、金融の知識と情報を身に付け、その知識を活用することで主体的に判断を行うことができる能力・スキルです。
と言うと、なんだか難しく聞こえるかもしれませんが、実際には「借金をしない」「無駄な消費をしない」「将来に備えて貯蓄を行う」「投資を行う」などの基本的な思考・行動です。
ただ、現実社会においては「美味しいものを食べたい」「好きな服を買いたい」などの誘惑や、会社の付き合い・近所付き合いのイベントなどで、本来やるべき行動が取れないこともあるかもしれません。
ですが、金融リテラシーとお金の関係を知ることで、その考え方も少し変わるかもしれません。
この記事では、金融リテラシーの高さと年収や保有資産額がどういった関係にあるかを見ていきたいと思います。
1. 金融リテラシーの高さとは
まず、年収や保有資産額との関係を見る前に、そもそも金融リテラシーが高いとはどういったことかを確認してみましょう。
この記事は、日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査について(2020年)」のデータを元にしています。
そのため、この調査における金融リテラシーの高さの定義を確認します。
この記事では、次の3つの質問の正答率から金融リテラシーが「低い」「中程度」「高い」にグルーピングしています。
- 平均以上の高いリターンがある投資には、平均以上の高いリスクがある
- 1社の株式を買うことは、通常、株式投資信託(複数の株式に投資する金融商品)を買うよりも安全な投資である
- 金利が上がったら、通常、債券価格は下がる
日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査について(2020年)」より抜粋
回答はすべて「正しい」「間違っている」「分からない」の3択で、正答率によるグルーピングは次の通りです。
- 金融リテラシーが低い:正解が0-1問
- 金融リテラシー中程度:正解が2問
- 金融リテラシーが高い:正解が3問(全問正解)
質問が3つしかありませんし、すべて3択問題であるため、非常に簡易的な調査であるため、正確性の観点では足りない面はありますが、それでも結果的には金融リテラシーの高さと年収や保有資産額には相関が見て取れます。
実際に見ていきましょう。
2. 金融リテラシーが高いほど年収が多い
まず、金融リテラシーと年収の関係を見てみます。
日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査について(2020年)」を元に、Route100編集部作成
国税庁の「民間給与実態統計調査(令和元年)」によると、日本人の平均年収は436万円になっています。
このアンケートにおける平均年収は422万円ですので、当然多少の誤差はありますが、概ね平均に近いと考えられます。
そして、金融リテラシーと年収の高さには明らかな相関関係が見られ、金融リテラシーが高いほど年収も高くなっています。
ただ、先ほども触れた通り、この調査における金融リテラシーの高さは簡易的なものです。
この結果は、金融リテラシーの高さより、学力偏差値による傾向が表れている可能性があります。(全体の傾向として、学力偏差値が高いほど生涯年収が高い傾向があります。)
3. 金融リテラシーが高いほど保有資産額が多い
次に、金融リテラシーの高さと保有している金融資産額の関係を見てみます。
日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査について(2020年)」を元に、Route100編集部作成
年収と同様に、金融リテラシーが高いほど、保有している金融資産額が多いことが分かります。
年収が高いのだから、保有資産額が高くなるのは当たり前だと思うかもしれませんが、得られた収入を貯蓄に回すことも正しい金融行動の1つです。
稼いだら稼いだ分だけ使ってしまう、いわゆる「お金使いが荒い」人もいますので、きちんと保有資産額を増やすことも大切です。
また、別の調査でも、金融リテラシーの高さと金融資産額には相関が見られる、との調査結果が出ています。
金融庁「金融リテラシー調査(2019年)」を元に、Route100編集部作成
こちらは、金融庁が行なっている「金融リテラシー調査」によるもので、同様の傾向が見られています。
そのため、相関の程度差はあるにせよ、傾向としてはある程度正しいと言えそうです。
金融庁の調査については、こちらの記事で詳しく解説しています。
4. 金融リテラシーが高いほど株式保有額が多い
最後に金融リテラシーと株式保有額の関係を見てみます。
日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査について(2020年)」を元に、Route100編集部作成
年収・金融資産保有額と同じように、金融リテラシーが高いほど株式の保有額も多くなっています。
先ほどの金融庁の調査結果では、リテラシーが高いほど株式投資の経験がある人が多い傾向が見られていました。
そのため、保有額と経験の違いはありますが、この点についても確からしさが伺えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
全体の傾向として、金融リテラシーと年収や保有資産額には相関関係があることが分かっています。
投資や資産運用を行う上で、金融の知識や情報は欠かせません。
また「そもそも何から身に付ければいいか分からない」「何を勉強したらいいか分からない」「勉強する時間がない」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。
言い方が適切ではないかもしれませんが、アドバイザーをパーソナル・トレーナーとして活用することも1つの手段です。
相談料は無料ですので、アドバイスを受けながら投資を行うことで、投資や資産運用の考え方を身に付けていくのも大切なことです。
ぜひ、正しい金融知識を身に付けて、ご自身の資産運用に活かしてみてください。