投資を行う際に、税金のことを考慮していますか?
証券会社の特定口座を使用している場合は、金融機関が源泉徴収で納税しているため、あまり意識することはないかもしれません。
しかし、少し知っておくと、株や投資信託で損失があった場合に税金を抑えることができるかもしれません。
この記事では、所得の種類と課税・納税の方法、その特徴を確認していきます。
1. 所得の種類
所得税は、所得税法によって10種類に分類されています。
このうち、投資を行う人に関係のある所得は、利子・配当・譲渡・雑所得の4つです。
No | 所得の種類 | 対象 | 分離課税 |
1 | 利子所得 | 預貯金・公社債の利子、公社債投資信託の分配金など | ◯ |
2 | 配当所得 | 株の配当金、株式投資信託の分配金など | ◯(選択可) |
3 | 不動産所得 | 土地・建物などの賃貸による収入など | |
4 | 事業所得 | 個人事業主・フリーランスなどで得られる収入 | |
5 | 給与所得 | 会社員、パート・アルバイトから得られる収入 | |
6 | 退職所得 | 退職金、退職一時金など | ◯ |
7 | 山林所得 | 山林を売却したことなどによる収入 | ◯ |
8 | 譲渡所得 | 不動産や有価証券を譲渡して得られた利益など | ◯(一部) |
9 | 一時所得 | 生命保険の一時金や、懸賞金など | |
10 | 雑所得 | 年金収入、先物・オプション取引からの利益など |
国税庁・タックスアンサー「No.1300 所得の区分のあらまし」を元に、Route100編集部まとめ
日本の所得税は、所得の金額によって税率が変わる累進課税制度です。
- それぞれの所得金額 = 収入金額の合計 - 必要経費
- 所得税 = (所得の合計金額 - 所得控除の合計金額)× 税率
ここで、関係してくるのが表の右端に表記している「分離課税」です。
そして、表を見て分かる通り、投資に関わる所得の多くは分離課税となっています。
2. 課税・納税の方法
所得税法では、総合課税を基本に分離課税という方法が定められています。
1)総合課税
総合課税とは、対象となる所得金額を合計して、その合計金額に税率を掛けて税額を算出する方法です。
税額 = 所得金額の合計 × 税率
※所得金額を合計する対象は、分離課税に当てはまらない所得
つまり、総合課税は、不動産・事業・給与所得などが中心になってくると考えられるため、いわゆる本業による収入が多いほど、税額が高くなることになります。
2)分離課税
一方で、分離課税は総合課税と分けて、個別に課税が行われる方法です。
国の政策上、税負担を高くして抑制したり、低く抑えることで促進することを目的に設けられるている課税方法です。
また、分離課税の申告と納税には、申告方式と源泉徴収の2つの方法があります。
① 申告分離課税・納税
確定申告で取引の申告を行い、税務署からの指定を受けて納税します。
② 源泉分離課税・源泉徴収
源泉徴収によって納税が行わ方法です。
源泉徴収とは、会社員の給与天引きによる納税のように、金融機関が本人に代わって納税を行うことです。
株式の配当金や売却金額が証券口座に入る際に、すでに税額が徴収されているため、所得税の前払いの性質があります。
そのため、すべての所得が源泉徴収されている場合、確定申告そのものを行う必要がありません。
ただし、株式や投資信託の譲渡の際に、損失がある場合は注意が必要です。
証券口座には、特定口座と一般口座があり、このうち特定口座・源泉徴収ありを選択している場合は証券会社から自動で納税が行われます。
その場合に、1年間に以下のような取引が発生している場合に、必要以上に税金を納めている可能性があります。
- 証券会社Aで、100万円の利益
→ この時点で、約20万円の税金が源泉徴収される - 証券会社Bで、150万円の損失
→ 利益がないため、源泉徴収はなし(税金は0円)
譲渡所得にマイナスがある場合は、利益と損失を相殺することができます。
つまり、このケースの場合は合計の譲渡所得が▲50万円であるため、本来は譲渡所得には税金がかかりません。
ですが、特定口座の場合でも、証券会社をまたがっての損益通算は行われないため、損失がある場合には、自分で確定申告を行うことで、余分に納めている税金を取り戻すことができます。
口座の状態と損益通算については、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、先ほどのケースのように損失が利益を上回っている場合、その損失は翌年以降に繰り越すことができます。
損失がある場合には、繰越控除も適用を考えてみてください。
まとめ
この記事では、所得の種類と課税方法を確認してきました。
主に投資に関わる所得は、利子・配当・譲渡所得です。
特に損失がある場合には、確定申告によって税金の還付を受けることがありますので、きちんと確定申告を行うようにしましょう。
また、実際には利子・配当・譲渡所得の確定申告には、非課税制度や控除の細かな特例があります。
確定申告のときに焦らないように、事前に金融アドバイザーや税理士に相談することで、効率的に投資・資産運用を行うことをおすすめします。
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