毎月分配型の投資信託は、つみたてNISAでも対象外となっていることから、長期の資産運用には向いていない商品だと言えます。
また、投資信託は基本的には長期投資に向いている商品であるため、老後資金のために毎月分散型の投資信託を保有することは適切だとは言えません。
しかし、実態として投資信託を保有している人の4割近くが、毎月分散型の投資信託を保有しています。
この記事では、毎月分散型の投資信託を保有している人の割合と、その理由を見ていきます。
1. 毎月分散型の投資信託とは?
まず、そもそも毎月分散型の投資信託とはどのような商品でしょうか?
その運用イメージを見てみます。
毎月分配型の投資信託は、ファンドの資産運用によって得られた利益を、名前の通り毎月投資家に還元する投資信託です。
ここで、分配がないより、毎月お金がもらえる方が良いのでは?と考えるのは早計です。
それは、お金には多いほど増えやすい性質があるためです。
例えば、同じ年利10%で投資を行った場合、元手が100万円の場合は利益が10万円ですが、元手が1,000万円の場合は利益が100万円になります。
増える率は同じでも、絶対額で見るとお金は多いほど増えやすくなります。
これは、個人でもファンでも変わりません。
毎月分配型の投資信託の場合、増えたお金を常に投資家に還元し続けるため、投資資金である純資産が増えにくい構造になっています。
そのため、短期的にお金を受け取りたい人にとってはメリットがありますが、長期的な資産運用には向いていないと言えます。
実際に、長期の資産運用に向けた制度であるつみたてNISAでは、毎月分配型の投資信託は運用商品から除外されています。(金融庁「つみたてNISAの会議・法令等」より)
しかし、実際には、毎月分配型の投資信託を保有している人は多いことが分かっています。
2. 毎月分配型・投資信託の保有率
投資信託を保有している人の中で、毎月分散型の投資信託を保有している人の割合は次のようになっています。
年代 | 保有率(%) |
全年代 | 39 |
20代 | 43 |
30代 | 35 |
40代 | 32 |
50代 | 34 |
60代 | 41 |
70代 | 51 |
投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書(2020年)」を元に、Route100編集部制作
投資が必要だと考えている人の多くは、利息が期待できない、もしくは将来や老後の生活費のためと考えています。
- 預貯金では利息が期待できない(66%)
- 将来の生活資金として準備できる(45%)
- 現在の保有額では将来の生活に不安(26%)
先ほどお伝えした通り、毎月分散型の投資信託は長期の資産運用には向いていないため、将来や老後の生活資金のために保有しているのだとすると、目的に沿っていない可能性があります。
毎月分散型投資信託の保有率は全体でも40%近くありますが、特に20代・60代・70代で高くなっています。
年金受給世代に入る60代・70代では、長期投資目的ではなく、年金の足しとして生活費に充てる目的で毎月分散型投資信託を保有することには一定の合理性があると考えられます。
一方で、20代はこれから資産形成を行っていく世代ですので、毎月分散型の投資信託を保有することは適切ではないかもしれません。
同様に、30代・40代も相対的に少ないとはいえ、3割を超える人が保有しています。
人生100年時代において、特に若い世代は老後に向けた資産形成を行っていく必要があるため、投資を行う目的と保有している金融商品が合っているかを改めて考えてみる必要があるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
分配型の投資信託は短期的に現金を受け取ることができますが、基本的に長期投資に向いている商品ではありません。
一方で、投資信託には様々な商品があることも事実で、2021年6月18日時点で日本で販売している投資信託の数は5,800を超えます。
そのため、投資信託を選ぶことが難しいと感じる人も多いと思いますし、投資信託を保有しているものの、このまま運用して良いのか疑問を持っている人もいると思います。
そういった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?
相談料は無料ですので、実際に投資・資産運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。
資産形成・資産運用のアドバイザー検索はこちらからどうぞ。
※この記事は、一般的な投資信託の特性を説明することを目的としています。
※投資信託の活用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。