2021年時点では、年金を受け取ることができる年齢は、65歳が基本となっています。
しかし、65歳という年齢は一律ではなく、60歳まで早めることもできますし、75歳まで受け取りを遅らせることもできます。
このように聞くと「早めにもらった方がお得」だと思うかもしれませんが、受け取り年齢を早くするほど支給額は減ります。
そして、その逆に受け取り年齢を遅らせることで、支給額は増えます。
そのため、就業状況や老後資金の状況を踏まえて、いつから受給するのかを1人1人が考える必要があります。
この記事では、受給開始年齢によって支給額がどのように変化するかを見ていきます。
※年金受給額の計算はとても複雑です。この記事における計算方法は明記していますが、記事内の数値・金額はあくまで参考値としてご覧ください。
※実際に、ご自身が受給できる年金額は「日本年金機構のホームページ」や、ご自身が加入している年金機構、または専門家にご確認ください。
1. 繰り上げ受給で減額
国民年金は社会保障であり、加入が義務付けられています。
また、以前は年金の受給開始年齢は60歳からでしたが、長寿化と少子高齢化を背景に受給開始年齢は65歳に引き上げられました。
また、年金の受給開始年齢と並行して、定年も徐々に延長されており、2025年には定年65歳が企業に義務付けられます。
このような制度の変更も踏まえて、「何歳まで働くか」「何歳から年金を受け取るか」「老後の生活費をどのようにやりくりするか」をなるべく早く考えておく必要があります。
そして、冒頭でもお伝えした通り、年金は65歳からの受け取りを基本としていますが、受け取りを早めることもできます。
ただし、その場合は受け取ることができる金額が減額されるため注意が必要です。
受給開始年齢 |
支給率 |
60歳 | 70% |
61歳 | 76% |
62歳 | 82% |
63歳 | 88% |
64歳 | 94% |
65歳 | 100% |
※日本年金機構「老齢年金ガイド(令和3年度版)」を元に、Route100編集部作成
このように、受け取りを早めると、1年早めるにつき6%が減額されます。(月単位で変更ができるため、1月早めると0.5%が減額されます。)
5年早めた場合は、70%まで減額されるため、非常に大きな違いがあると言えます。
当然人によって何歳まで生きるか、つまり年金をもらう年数には違いがありますが、多くの人は20年・30年にわたって年金を受給することになるため、この差は非常に大きいと言えます。
また、単純に減額されるだけでなく、繰り上げ受給を行うと次のような注意事項も発生するため、慎重に考える必要があります。
- 繰り上げ受給は取り消すことができない
- 障害の程度が重くなった場合に、障害基礎年金を受け取ることができない
次に、繰り下げ受給、つまり年金の受給開始年齢を遅らせた場合にどのようになるかを見ていきます。
2. 繰り下げ受給では増額
先ほどと反対で、年金の受け取りを遅らせた場合はどのようになるでしょうか?
年金の受給開始年齢を繰り下げた場合、受け取ることのできる金額は徐々に増えていきます。
受給開始年齢 |
支給率 |
65歳 | 100% |
66歳 | 108.4% |
67歳 | 116.8% |
68歳 | 125.2% |
69歳 | 133.6% |
70歳 | 142.0% |
71歳 | 150.4% |
72歳 | 158.8% |
73歳 | 167.2% |
74歳 | 175.6% |
75歳 | 184% |
※日本年金機構「老齢年金ガイド(令和3年度版)」を元に、Route100編集部作成
70歳まで受け取りを遅らせた場合は42%支給額が増え、75歳まで遅らせると84%支給額が増えます。
毎月受け取ることができる金額がこれだけ増えるため、受給期間が長くなるほどその影響は非常に大きいと言えます。
このような制度内容を見ると「遅く受け取った方が良さそうだけど、早く死んでしまったら損だな」と考える人もいるかもしれません。
しかし、特に国民年金はあくまで最後の社会保障とも言えるため、できるだけ自助努力で生活ができる状態にしておき、足りない分を補填するといった考え方が望ましいと考えられます。
実際に、現在年金を受け取っている世代への調査結果からも、年金だけでは生活費が足りないことが分かっていますので、厚生年金やiDeCoなどの私的年金も含めて老後の生活設計を考える必要があります。
また、年金の受給開始年齢の引き下げには申請が必要です。
申請を行わなかった場合は、自動的に65歳から支給が開始されてしまうため注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
年金制度は複雑で、少しずつ変更も行われているため、なかなか理解しづらいかもしれません。
しかし、老後の生活費をしっかりと確保することはとても重要ですので、早めに備えを行うようにしましょう。
また、制度面で知りたいことや、老後資金などの相談をしたい場合は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。
相談料は無料ですので、実際に年金や資産の運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。
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※この記事は、一般的な社会制度を説明することを目的としています。
※年金や投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。