REIT:リートは不動産の投資信託、メリットとデメリットを解説

REITは投資信託の1つで、投資対象が不動産になっています。

投資の1つに不動産投資、つまりマンションや戸建てを購入して、家賃収入や価格上昇による値上がり益を目指す方法があります。

ただし、直接不動産投資を行うには、多額の初期費用が必要になる場合が多く、またリスクも高くなりがちです。

一方で、REITで間接的に不動産投資を行う場合は、初期費用を抑えてリスクを下げることができます。

この記事では、不動産への直接投資と比較しながらREITのメリット・デメリットを見ていきます。

1. REITとは

REITは1960年にアメリカで生まれた仕組みで、Real Estate Investment Trustの頭文字を取った略称です。

日本では、頭にJapanのJを付けて「J-REIT」と呼ばれ、2003年に初めてJ-REITの投資信託が販売されました。

冒頭でも触れた通り、REITは不動産を対象とした投資信託です。

株や不動産を個別に購入する場合、資金の問題から購入できる物件や企業の株が限られてしまいます。

一方で、投資信託は多くの投資家からお金を集めて、分散投資を行うことでリスクを低減しながら、一定のリターンを目指す仕組みです。

この図は、株や債券・不動産など様々な資産クラスに分散していますが、通常の投資信託はそれぞれの資産クラスに特化した商品になっています。

そのうち、不動産に特化した投資信託をREITと呼んでいます。

例えば、比較的少ない資産で不動産の直接投資を行う方法に、マンションの1室を購入し運用する方法があります。

この場合、その1室が空室になった場合は、家賃収入が得られません。

また、そのエリアの人気がなくなることで、マンションの価値が下がる可能性がありますし、地震や火災などによってマンションそのものが消失するリスクもあります。

地震や火災、空室に対する保険もありますが、それは相応のリスクがあることを意味してもいます。

一方で、例えば100の不動産に投資をしている場合、そのうちの数件に問題が起こったとしても全体への影響は抑えることができます。

これが、REITを含む投資信託がリスクを抑えられる理由です。

投資信託そのものの仕組みや、メリット・デメリットを知りたい方はこちらの記事も合わせてどうぞ。

お金を育てる 投資信託・初心者にもおすすめ!失敗の少ない資産運用

次に、不動産への直接投資とREITの違いを比較しながら見ていきます。

2. 不動産投資とREITの違い

不動産への直接投資と、REITはかなり性質が異なります。

直接投資とREITの一般的な違いをまとめると、次のようになります。

比較項目 不動産投資(直接) REIT
投資対象 住居用の不動産(アパート、マンションなど) 住居用の不動産、事業用の不動産(ホテル、オフィスビル、倉庫など)
必要な資金 数千万円〜 数百円〜
資金の調達方法 自己資金、または不動産ローン 自己資金のみ
利回り 物件による 3〜6%ほど
購入費用以外に必要なコスト 売買手数料、運営委託費、保険料、固定資産税など 信託報酬、売買時の手数料
資金の流動性 低い(売買に時間がかかる) 高い(証券会社などですぐに売買が可能)
分散投資 困難(多額の資金が必要) 可能(多くの不動産に分散される)
物件購入などの専門知識 必要(投資物件の見極め、維持管理方法の把握・判断) 不要(ただし、REIT商品の理解は必要)
物件の維持管理 自身で管理、または不動産会社などに委託 不要(REITの仕組みの中で管理される)

※ここでは、一般的な違いを表現しています。個別の物件、REITの個別商品によっては、あてはまらない場合があります。

REITは投資信託ですので、投資信託が持つ特徴を基本的に備えています。

 

1)少額で分散投資が可能

まず、REITは少額から投資を行うことができます。

不動産投資の場合、マンションの1室でも最低数百万円、多くの場合は数千万円の資金が必要になります。

一方で、投資信託は投資したい額だけ買い付けが可能なため、100円からでも始めることができます。(購入可能金額は商品によって異なります)

また、不動産投資は数百万・数千万円の資金で、マンションやアパートの1室・1棟を購入するため、よほど大きな資産を持っている人以外は分散投資は困難です。

しかし、投資信託であるREITは、多くの人から資金を集めて数百億円・数千億円といった単位で運用し、多くの不動産に分散投資を行なっています。

そのため、個人の投資額が少なくても、分散投資が可能です。

また、REITにも通常の投資信託だけでなく、ETFの商品もあります。

手数料を抑えたい場合は、ETF商品も検討してみると良いと思います。

ETFについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

ETFとは?株と投資信託との違いと、メリット・デメリットを解説

2)専門知識・維持管理が不要

不動産を購入する場合、ある程度の専門知識や購入後の維持管理を行う必要があります。

  • 購入物件の見極め・価格の適正さ
  • 長期的に見た、土地や建物の価格維持率
  • 想定される空室率・空室期間
  • 不動産ローンを利用する場合の適正金利
  • 購入後に発生する維持管理業務と対応

購入物件の維持管理を不動産会社などに委託することは可能ですが、その場合は当然コストが余計に掛かることになります。

また、購入価格と借り入れの金利、必要経費や発生し得るリスクとそれに対する保険料などを考えた上で、想定するリターンを得ることができるかを把握し、投資を行うかどうかは自分で判断する必要があります。

REITの場合も、投資対象の金融商品として商品を理解する必要はありますが、個別物件や物件の維持管理に関する具体的な知識までは必要ありません。

そのため、不動産投資とREITを検討する場合は、このような知識の有無や学習時間も考慮して考える必要があります。

最後に、REITに投資をする場合のデメリットと注意点を確認します。

3. REITのデメリット・注意点

不動産は実際の土地や建物であるため、価値が急激に下がるリスクは低いと言えます。

REITのデメリットは、資金の流動性から起こりうる2点です。

REITのデメリット・注意点

  1. REITは自己資金で運用(不動産ローンが使えない)
  2. 急激に価格が下落するリスク

それぞれ確認します。

1)REITは自己資金で運用

不動産投資の場合、銀行や信用金庫などで不動産ローンを借りて投資を行うことが可能です。

もちろん、銀行などでの審査はありますが、購入予定の不動産を担保にし、返済できる見込みがあれば、自己資金が少なくても不動産投資を行える可能性があります。

そのため、いわゆるレバレッジを効かせることが可能です。

一方で、REITも含めた投資信託の投資は自己資金で行う必要があります。

少額で始めることができる点はメリットではありますが、元手での資金以上に投資を行うことができない点は、不動産投資と比べた場合にデメリットとも言えます。

ただし、このことは元手の資金以上に失うことはないとも考えることができます。


2)急激に価格が下落するリスク

2008年に起こったリーマンショックと、その後の金融危機が記憶にある人も多いと思います。

リーマンショックは、信用度の低い人に向けた住宅ローンであるサブプライムローン問題をきっかけに発生した金融危機です。

資金の流動性が高いことはメリットである一方、このような問題が起こったときに一斉に売り注文が殺到し、一気に価格が下がるリスクもあるということです。

投資信託であるREITは証券ですので、証券価格の低下はそのまま保有資産の低下につながります。

一方で、不動産の場合、火災や地震などによるリスクはありますが、土地や建物の価値が一気に下落するリスクは低いため、安全資産だとも言えます。

まとめ

この記事では、投資信託であるREITと不動産投資の違いを見てきました。

REITは少額で始めることができ、個別物件に関する専門的な知識や物件を管理する手間がなく、簡単に始めることができます。

ただし、REITと不動産投資はまったく別の投資です。

そのため、REITの投資を続けても、実際の不動産投資に関する知識はなかなか身につかないと思いますので、本気で不動産投資をやりたい方は勉強することが望ましいと言えます。

また、REITと言っても実際には多くの商品がありますので、「実際にどのREIT・ETFを選べばいいか分からない」「自分に合った商品を提案して欲しい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?

相談料は無料ですので、実際に投資を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。

※この記事は、一般的な商品特性を説明することを目的としています。
※投資信託、REIT、不動産投資などの投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。


 

※本ページに記載されている内容は2021年5月23日時点のものです
※記載内容に誤りがある場合、ご意見がある方はこちらからお問い合わせください

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