通常、株式投資や投資信託などで得られた利益には、約20%の税金がかかります。
一方で、金融庁には「貯蓄から投資へ」をスローガンに、投資による資産形成・資産運用を促進したい考えがあります。
そのため、投資によって得られる税金が免除されるケースがあります。
どのような場合に税金を抑えることができるかを把握し、きちんと制度を活用して資産運用を行っていきましょう。
1. 税金の支払いが免除されるケース
通常、株式投資の売買などで得られた利益には20.315%の税金がかかります。
100万円の利益が得られた場合、支払う必要のある税金は約20万円です。
決して少ない額ではありません。
ですが、国が用意している制度を活用すると、この20万円の納税が免除されるケースがあります。
その方法は次の4つです。
- NISA口座で取引を行う
- iDeCo口座で取引を行う
- 1年間を通した取引の合計がマイナス
- 過去3年間の取引合計がマイナス
1, 2は税制優遇の制度を活用した方法で、3, 4は取引によって損失がある場合です。
それぞれ確認してみましょう。
2. 税制優遇の制度を活用
税制優遇、つまり税金が免除または緩和される制度には、NISAとiDeCoがあります。
ただし、iDeCoは年金制度のため、原則60歳以降にしか受け取ることができないという制約があります。
目的に応じて使い分けが必要ですので、注意しましょう。
1)NISA口座で取引
NISAとは少額投資非課税制度のことで、NISA口座で行なった取引については、株式投資や投資信託で得られた配当金・分配金や、売買によって得られた譲渡益に税金がかかりません。
NISAには一般NISAとつみたてNISAがありますが、このうち株式投資ができるのはの一般NISAだけです。
つみたてNISAは長期の資産形成・資産運用を目的にした制度ですので、長期投資に向いた投資信託のみが対象商品となっています。
また、一般NISA・つみたてNISAともに1年間に投資できる金額、投資可能な期間が定められています。
NISAについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を合わせてお読みください。
2)iDeCo口座で取引
iDeCoは個人型の確定拠出年金です。
iDeCo口座で取引を行った場合、3つの税制優遇のメリットがあります。
- 投資によって得られた利益に、税金がかからない
- 投資した金額を、所得金額から控除することができる
- 退職金や年金として受け取る際に、所得金額から控除することができる
このように、iDeCoは税金面でのメリットが大きい制度ですが、あくまで年金制度である点に注意が必要です。
年金制度であるため、原則60歳になるまで引き出すことができません。
そのため、生活費はもちろん、住宅購入や教育資金として使う予定のお金はiDeCoではなくNISAで運用するようにしましょう。
iDeCoの詳細は、こちらの記事で解説しています。
3. 投資で損失がある場合
株式投資や投資信託などによって損失が出ている場合、納税が免除または軽減されるケースがあります。
それが、損益通算と損失の3年間繰越控除です。
1)損益通算がマイナス
通常の証券口座での取引の場合でも、1年間の取引の合計がマイナスの場合は税金が免除されます。
この制度のことを損益通算と言います。(国税庁・タックスアンサー「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」)
損益通算は、複数の証券口座にまたがって適用することができます。
例えば、証券口座Aで50万円の利益が出ていて、証券口座Bでは60万円の損失が出ている場合、合計の損益は10万円のマイナスです。
そのため、この場合は税金を支払う必要がありません。
ただし、損益通算を適用するには、取引状況によって確定申告が必要です。
損益通算の詳細は、こちらの記事をどうぞ。
2. 損失の3年間繰越控除
1年間での損益通算に加えて、損失を3年間繰り越すことができます。
例えば、ある年の損益通算の金額がマイナス100万円、つまり100万円の損失があったとします。
この場合、その後3年間にわたって100万円の損失を繰り越すことができます。
繰り越した損失は翌年以降の利益と相殺することができるため、利益が出ている年でも税金を抑えることができます。
ただし、損失の繰越控除は必ず確定申告が必要になりますので、忘れないようにしましょう。
まとめ
投資・資産運用を行う際に、税金を抑えることはとても重要です。
制度を知っておくことで、税金の免除または軽減を受けることができます。
ぜひ、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度の活用を考えてみましょう。
また、損失が出てしまった場合には、必ず損益通算と損失の3年間繰り越しを行うようにしましょう。
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