投資で損失が出てしまったときに、損益通算の申告を行っていますか?
また、損失を翌年以降に繰り越すことができることをご存知ですか?
投資で得た利益には税金がかかります。
しかし、損失がある場合には、その損失分を税金から控除することができます。
ただ、実際に投資を行なっている人へのアンケート結果からは、4割以上の人が制度を知らないことが分かっています。
制度の内容を知って、多く払ってしまった税金を取り戻しましょう。
1. 損益通算と損失の繰越
通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。
しかし、株式や投資信託の売買で譲渡損がある場合には、そのマイナス分を利益から相殺することができます。
つまり、支払う税金を減らすことができます。
これを損益通算と言います。
損益通算の例
- 株Aで100万円の利益が得られ、株Bで80万円の損失が出た場合
→ 差額の20万円が税金の対象となる - 株Aで100万円の利益が得られ、株Bで150万円の損失が出た場合
→ 取引総額がマイナス50万円になるため、税金の支払いは不要
そして、2のケースでは1年間の取引総額がマイナスになっています。
この損失金額50万円は、翌年以降に繰り越すことができます。
仮に、次の年に投資で利益が得られた場合でも、50万円までは相殺することができます。
これを損失の繰越控除と言い、最大で3年間繰り越すことができます。
損益通算と損失の繰越控除は、それぞれの記事で詳しく解説しています。
2. 投資家の4割以上が知らない
このように、損益通算と損失の繰越控除は、損失がある場合には必ず使った方が良い制度です。
ですが、実際に投資を行っている個人投資家へのアンケート結果から、これらの制度を知らない人が多いことが分かっています。
知っている制度 | 損益通算 | 繰越控除 | 割合 |
どちらも知っている | ◯ | ◯ | 38% |
損益通算のみ知っている | ◯ | X | 14% |
繰越控除のみ知っている | X | ◯ | 6% |
どちらも知らない | X | X | 42% |
どちらも知っている人は、4割以下です。
このアンケートは、実際に投資を行なっている人が対象であることを考えると、認知率は低いと言えます。
また、繰越控除を知っている人のうち、実際に繰越控除を利用したことがある人も約4割です。
繰越控除の利用経験 | 割合 |
利用したことがある | 41% |
利用したことはない | 59% |
結果、損失の繰越をしたことがある人は、アンケート回答者全体の約18%です。
もちろん、損失が出ていない場合、この制度を適用することはありませんが、やはり制度自体は知っておく必要があると考えます。
では、制度を知っていながら、利用したことがない理由は何でしょうか?
3. 利用しない理由は確定申告
制度を知っているのに、損失の繰越を利用したことがない理由は、そもそも損失がない人を除くと確定申告が必要なことに起因しています。
損失の繰越を利用したことがない理由 | 割合 |
譲渡損が発生したことがない | 46% |
確定申告が必要だから | 27% |
やり方が分からない | 16% |
NISA口座のみで投資している | 8% |
その他 | 3% |
損失が出ていない人であれば、損失の繰越を利用したことがないのは当然です。
ですが、確定申告が必要・やり方が分からないを合わせると43%と、多くの人が理由にあげています。
たしかに、確定申告の手続きは面倒かもしれません。
しかし、例えば100万円の利益に対して掛かる税金は約20万円です。
確定申告を行うだけで、この税金が戻ってくる可能性があります。
そのため、損失がある場合はきちんと確定申告を行うことが大切です。
また、投資利益の税金抑えるには、NISAやiDeCo口座を使う方法もあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
損益通算と損失の繰越控除は、投資を行う人が知っておくべき制度です。
しかし、実際には投資家でも知っている人は意外と少ないです。
確定申告を行うだけで、税金が戻ってくる可能性があるので、できるだけ活用するようにしましょう。
また、「資産形成を始めたい」「投資の税金を抑えて運用したい」「確定申告のやり方を相談したい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?
相談料は無料ですので、アドバイスを聞いた上で投資の実施を判断するのが良いのではないでしょうか。
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