現在は働き方が自由化されている影響もあり、フリーランス・自営業として働く人の人数も増えてきています。
今後もこの流れは続いていくと思いますが、会社員や公務員がフリーランス・自営業者になるときには注意が必要です。
その1つが年金制度です。
会社員・公務員として働いているときは、意識していなくても厚生年金に加入しています。
しかし、フリーランス・自営業になった場合には、年金のことも自分で考える必要があります。
この記事では、厚生年金についてお伝えしながら、国民年金との違いを見ていきます。
※年金受給額の計算はとても複雑です。この記事における計算方法は明記していますが、記事内の数値・金額はあくまで参考値としてご覧ください。
※実際に、ご自身が受給できる年金額は「日本年金機構のホームページ」や、ご自身が加入している年金機構、または専門家にご確認ください。
1. 厚生年金は加入金額・期間で変更
国民年金は社会保障であるため、保険料は固定であり、加入が義務付けられています。
一方で、厚生年金は企業に加入が義務付けられている制度です。
そのため、会社員や公務員の方は、自分が加入しているかどうかを気にしていない人も多いかもしれませんが、加入しています。
そして、国民年金・厚生年金の月額平均受給額は次のようになっています。
国民年金(老齢基礎年金、1人あたり) | 65,075円 |
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額) | 220,496円 |
日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」より抜粋
国民年金は保険料が決まっており、かつ基本的には加入が義務付けられているため、欠かすことなく保険料を支払っていた場合、誰もが満額の約6.5万円を受け取ることができます。(受給金額は多少変動します)
一方で、厚生年金は加入している期間、支払っている保険料によって受け取ることができる金額が変わってきます。
先ほどの、標準的な厚生年金は夫婦2人分ですので、単純な比較はできませんが国民年金と厚生年金では大きな金額差があります。
具体的に、単身者の場合の厚生年金と、夫婦2人世帯の厚生年金を加入年数と年収別に見ていきます。
1)単身者の厚生年金受給額
まず、単身者の厚生年金を年収・加入年数別に見ると次のようになります。(この金額には国民年金の受給額も含みます)
年収 |
月収 |
加入年数と月額受給額(万円) | |||
10年間 | 20年間 | 30年間 | 40年間 | ||
300万円 | 25万円 | 8 | 9 | 11 | 12 |
400万円 | 33万円 | 8 | 10 | 12 | 14 |
500万円 | 42万円 | 9 | 11 | 13 | 16 |
600万円 | 50万円 | 9 | 12 | 15 | 17 |
700万円 | 58万円 | 10 | 13 | 16 | 19 |
800万円 | 67万円 | 10 | 14 | 17 | 21 |
900万円 | 75万円 | 11 | 15 | 19 | 23 |
1000万円 | 83万円 | 11 | 16 | 20 | 25 |
※日本年金機構「老齢年金ガイド(令和3年度版)」を元に、Route100編集部作成(1,000円の位を四捨五入)
※加入月数は、すべて2003年4月以降だとして計算(2003年4月以前の加入月数は計算方法が異なります)
※すべて国民年金を満額加算した受給金額(国民年金に40年間加入していたとして計算)
加入年数によっても、年収によっても受給金額が大きく変わることが分かります。
ここで1点注意が必要なことは、年収とは最も高かった時や最終的な年収ではなく、加入期間を通した平均の年収だということです。
新卒で入社したときの年収が最も低く、そこから徐々に年収が上がっていくのが通常です。
大学を卒業した人の平均初任給は22万6,000円、ボーナスを含めると300万円前後が平均年収だと考えられます。(厚生労働省「令和2年度 賃金構造基本統計調査」)
先ほどの表は、そのように厚生年金を納め始めたときからの平均年収で見る必要があります。
次に、夫婦の場合の厚生年金受給額を見てみます。
2)夫婦の厚生年金受給額
夫妻のいずれかが、ずっと扶養に入っていた場合(専業主婦/夫)の受給額は次のようになります。(同様に国民年金の受給額も含みます)
夫妻のいずれかが、国民年金に40年加入していた場合、先ほどの単身者の受給額に毎月約6.5万円が加算されます。
その結果、次のようになります。
年収 |
月収 |
加入年数と月額受給額(万円) | |||
10年間 | 20年間 | 30年間 | 40年間 | ||
300万円 | 25万円 | 14 | 16 | 17 | 18 |
400万円 | 33万円 | 15 | 17 | 18 | 20 |
500万円 | 42万円 | 15 | 18 | 20 | 22 |
600万円 | 50万円 | 16 | 18 | 21 | 24 |
700万円 | 58万円 | 16 | 19 | 23 | 26 |
800万円 | 67万円 | 17 | 20 | 24 | 28 |
900万円 | 75万円 | 17 | 21 | 25 | 29 |
1000万円 | 83万円 | 18 | 22 | 27 | 31 |
※計算方法は、1)単身者の場合と同じ
※夫妻のいずれか一方は厚生年金への加入期間がなく、国民年金に40年間加入していたとして計算
大まかにでも自分が受け取ることのできる年金額を把握すると、備えておくべき資産などがより明確になるかもしれません。
また、このように加入期間によって受給金額が変動することを確認すると、会社員を辞めた後にも年金などの備えが必要だということが分かります。
2. 自営業・フリーランスが加入可能な年金の種類
日本の年金制度は、3階建てになっています。
1階は、全国民を対象とした国民年金です。
2階は、会社員や公務員の場合は厚生年金ですが、自営業・サラリーマンは国民年金基金に加入することができます。(加入には条件があります)
また、年金制度の3階として加入できる年金に、私的年金制度のiDeCoがあります。
自営業・サラリーマンは、国民年金に加えて、国民年金基金とiDeCoを使って自分の年金を作っていくことができます。
また、これらの制度は所得税控除の対象にもなっているため、税制優遇を受けながら資産運用を行うことができます。
会社員時代には厚生年金のことを気にしていない人も多いと思いますが、国民年金だけでは生活費には足りないことが想定されるため、自分で年金制度を活用して備えを行う必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
国民年金と厚生年金の受給額の違いを、初めて知った人もいるのではないでしょうか?
実際に「年金がいくらもらえるか知りたい」「いくら老後資金を用意する必要があるか知りたい」「年金と投資、どちらで資産運用をするべきか相談したい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?
相談料は無料ですので、実際に年金や資産の運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。
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※この記事は、一般的な社会制度を説明することを目的としています。
※年金や投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。