つみたてNISAは2018年にスタートした制度です。
2014年に制度が始まった、一般NISAよりも長期投資を目的に制度設計がなされています。
一般NISAとつみたてNISAは併用することができないため、つみたてNISAは投資未経験者の割合が必然的に高くなり、2020年12月末には初めて投資未経験者の割合が80%を超えました。
この記事では、NISA口座における投資未経験者の割合の推移を見ていきます。
※この記事は、日本証券業協会が公表しているデータを元に作成しています。
※金融庁の調査結果と異なり、調査対象が「証券会社」に限定されているためご注意ください。
1. NISA口座の投資未経験者の割合(2020年12月末時点)
日本証券業協会が行った調査によると、2020年末時点でのNISA口座における投資未経験者の割合は次のようになっています。
NISA口座の種類 |
投資未経験者の割合 | 制度が始まった年 | 口座数 |
一般NISA | 43% | 2014年 | 742万 |
つみたてNISA | 81% | 2018年 | 172万 |
日本証券業協会「NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果(全証券会社)」を元に、Route100編集部作成
一般NISAは2014年にスタートした制度であるため、つみたてNISAに比べて口座数は4倍以上になっていて、比較的投資経験者の割合が多いと言えます。
それでも、2020年末時点では投資未経験者の割合が40%を超えるまでになっています。
また、つみたてNISAは一般NISAの4年後・2018年にスタートした制度です。
そのため、口座数では一般NISAよりも少ないものの、つみたてNISAは投資未経験者の割合が非常に高くなっています。
これは、NISA制度が始まる前に投資を行なっていた人は、先行して一般NISAを利用し始めたことが理由だと考えられます。
NISA口座は、一般NISA・つみたてNISAのどちらか一方しか開設することができません。
そのため、投資経験者は一般NISAに偏り、つみたてNISAは投資未経験の割合が多くなっていると考えられます。
また、一般NISAから、つみたてNISAに切り替えることは可能ですが、以下の理由から移行する人は少ないと考えられます。
- 単純に手続きを行うことが面倒
- つみたてNISAは、一般NISAに比べて投資可能な商品が少ない
- つみたてNISAは1年間に40万円までしか投資ができないが、一般NISAの上限は120万円
投資経験者は未経験者に比べると、投資意欲が高いと考えられるため、一般NISAを継続利用することにメリットを感じていると考えられます。
NISA口座の違いを、詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
また、一般NISAは当初2023年12月末までと、期限が定められていた制度でした。
そのため、「今さらNISAを始めても遅いかも」と諦めていた人もいるかもしれません。
しかし、一般NISAは2024年に新制度へ移行して、2028年12月末まで延長することが決まっています。
そのため、まだNISAを活用していない人は、一般NISAも含めて改めて利用を検討してみてはいかがでしょうか。
2. 投資未経験者の割合は継続的に増加
2014年から2020年までの、商品別の買い付け金額を見ると次のようになっています。
年 |
各年12月末時点の投資未経験者の割合 | |
一般NISA | つみたてNISA | |
2014年 | 16% | - |
2015年 | 23% | - |
2016年 | 27% | - |
2017年 | 30% | - |
2018年 | 35% | 59% |
2019年 | 38% | 71% |
2020年 | 43% | 81% |
日本証券業協会「NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果(全証券会社)」を元に、Route100編集部作成
※つみたてNISAは2018年に制度がスタートしているため、2018年以降のデータのみ記載
このように、一般NISA・つみたてNISAともに、投資未経験者の割合が徐々に増えていることが分かります。
- 一般NISAは、当初投資経験者が80%以上という状況だったが、2020年には40%が投資未経験者となっている
- つみたてNISAは、制度スタート時点から投資未経験者の割合が多かったが、2020年には81%と大半が投資未経験者となっている
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※データを見る上での注意点
-
日本証券業協会のデータでは、投資未経験者は次のように定義されています。
・一般NISAの「投資未経験者」は、報告のあった証券会社において2013年4月1日以降に証券総合口座を開設した者
・つみたてNISAの「投資未経験者」は、報告のあった証券会社において2017年10月1日以降に証券総合口座を開設した者
つまり、他の証券会社で投資を行っていて、別の証券会社でNISA口座を開設した人は投資未経験者に含まれます。
そのため、本来の投資未経験者の割合は、このデータよりも少ないと考える必要があります。
このように、これまで投資を行なっていなかった人が、NISA口座を活用して徐々に資産運用を行うようになってきていると考えられます。
ただし、NISA口座を開設したとしても、金利の低い商品ばかりを運用している場合は、資産形成・資産運用になっていないかもしれません。
NISA口座は開設して終わりではなく、きちんと資産運用のための商品選定を行い、定期的に運用状況のチェックと見直しを行なっていく必要があります。
まとめ
この記事では、NISA口座における投資未経験者の割合を見てきました。
投資未経験者のNISA口座の活用が徐々に増えてきていますが、口座開設と合わせて実際の資産運用を行なっていく必要があります。
一方で、NISA口座を開設できる証券会社も多くあり、実際に資産運用を行うにあたっては、株式投資の場合は投資対象の企業を選ぶ必要がありますし、投資信託も数多くの中から商品を決める必要があります。
そのため「一般NISAとつみたてNISAどちらにすべき?」「どの証券会社が良いか分からない」、「NISAで投資を行っているけど、この商品で良いのか不安」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。
相談料は無料ですので、NISAで資産運用を始めたいと思っている人も、既に行なっているけど不安がある人も、相談してみる価値があると思います。
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※この記事では、一般的なNISAの利用状況を説明することを目的としています。
※NISAや年金・投資の活用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。