老後の生活資金を考えていますか?
日本には皆年金制度があるため、一定の生活資金は年金でまかなうことができます。
ただし、年金はあくまで社会保障、つまり最低限の生活を生活を保障するためのセーフティーネットです。
そのため、ゆとりのある生活や趣味・旅行などを楽しむためには、ある程度自分で資金を確保しておく必要があります。
そうした中、日本では老後も収入のために働く人が多いことが、欧米との比較から分かっています。
この記事では、老後の生活費の収入源の違い、労働の目的について見ていきます。
1. 老後の生活費の資金源・欧米との違い
内閣府では、5年ごとに高齢者の生活について国際比較を行っています。
その調査結果によると、老後の生活費の資金源は国によって次のようになっています。
生活費の資金源 | 国別の割合(%) | |||
日本 | アメリカ | ドイツ | ||
年金 | 公的年金 | 67 | 54 | 70 |
私的年金 | 2 | 11 | 3 | |
収入 | 仕事 | 21 | 17 | 16 |
財産(配当金、家賃など) | 2 | 8 | 3 | |
預貯金を含む資産の取り崩し | 3 | 3 | 2 | |
援助 | 生活保護 | 1 | 1 | 3 |
子供などからの援助 | 1 | 1 | 1 | |
その他 | 1 | 4 | 2 | |
無回答 | 2 | 2 | 1 |
内閣府「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(2021年3月公表)」を元に、Route100編集部制作
いずれの国も、公的年金を老後の生活費の主軸にしていることは変わりません。
特に日本とドイツは、公的年金への依存傾向が強いと言えます。
一方で、アメリカは公的年金制度が十分でないことから、私的年金や財産収入(株や投資信託の配当金や、不動産の家賃収入など)の割合が多くなっています。
また、預貯金を含む資産の取り崩しは、いずれの国においてもそれほど大きな割合ではないように見えますが、仮に毎年3%を取り崩すと約30年間で資産はなくなります。
例えば、日本では60歳時点での平均余命は男性が24.0年、女性は29.2年です。(厚生労働省「簡易生命表(令和元年)」より)
何歳まで生きるかは誰にも分かりません。
そのため、老後においても、できる限り資産を取り崩さずに生活を行うことが大切だと言えます。
また、仕事・労働による収入も全体的に大きな割合を占めていると言えますが、その中でも日本は比較的仕事による収入の割合が多くなっています。
この、仕事に対する考え方についても見ていきたいと思います。
2. 老後の仕事に対する考え方の違い
日本でも、徐々に定年が延長されており、国としても長寿化・健康寿命の延伸に伴って長く働く環境を整備する方針であることが分かります。
また、制度面だけではなく、実際の高齢者の意識としても収入を伴う仕事への意欲は高いことが分かっています。
内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査結果(平成26年度)」を元に、Route100編集部作成
このように、8割近くの人が少なくとも70歳までは働くことを希望しています。
しかし、その労働の目的については欧米と比べると、少し事情が異なると考えられます。
就労を継続する理由 | 国別の割合(%) | ||
日本 | アメリカ | ドイツ | |
収入が必要 | 51 | 32 | 36 |
仕事そのものが活力になる | 16 | 33 | 43 |
仕事を通して、友人・仲間を得ることができる | 7 | 1 | 1%未満 |
健康・老化防止 | 23 | 25 | 18 |
その他 | 2 | 8 | 3 |
無回答 | 1 | 1 | 1%未満 |
内閣府「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(2021年3月公表)」を元に、Route100編集部制作
この結果から、次のことが分かります。
- すべての国において、収入目的、健康や老化を防止するために働く意向が強い
- その中でも、日本は収入を主たる目的にした就労意欲が強く、2人に1人を占める
- 一方で、アメリカ・ドイツでは僅差ではあるものの、収入よりも仕事自体が生活の活力になるとしている人の割合が多い
この調査では、択一の回答になっているため、実際には収入だけではなく、様々なことを仕事に求めていると考えられます。
ですが、収入を主たる目的とすることなく、老後も好きな仕事に打ち込むことができると、より良い人生を歩むことができるかもしれません。
そして、そのためには老後に備えて、早いうちから資産を作って準備を行っておくことが大切です。
答えは1つではありませんが、アメリカのように収入源を複数用意しておくと、いざとなったときに取り得る選択肢が増えます。
1度どのように老後の生活を送りたいかを考えて、その上で今からできる備えを行っていくことが重要かもしれません。
まとめ
この記事では、アメリカ・ドイツと比較しながら、老後資金の収入源と仕事に対する考え方の違いを見てきました。
「老後に備えて、今から資産形成を行いたい」「老後の生活費の相談をしたい」「老後資金をいくら貯める必要があるか知りたい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?
相談料は無料ですので、実際に投資・資産運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。
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※この記事では、一般的な社会状況を説明することを目的としています。
※年金や投資の活用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。