日本は長寿化や少子高齢化も背景に、定年の延長が予定されています。
実際に65歳へ定年延長が義務化されるのは2025年ですが、既に60代は就業率が高い状況にあり、男性は2人に1人以上が働いている状態です。
この記事では、60代の就業率と就業希望者の割合を見ていきます。
1. 60代の就業率と就業状況
日本が、世界でも最も長寿国であることは多くの人が知っていることだと思います。
そして、寿命とともに健康寿命も伸びてきています。
これは、これまで高齢とされてきた年齢になっても、働くことができる状態であることを意味しています。
そのような状況に合わせて、制度面でも徐々に定年は延長されてきています。
法律で定められている定年は2021年6月時点で60歳ですが、2021年には70歳定年が企業の努力目標として設定され、2025年には65歳定年が企業に義務付けられます。
そのため、現時点では定年65歳は義務ではありませんが、実際には男女ともに65歳未満の就業率は50%を超えています。
性別・年代 | 就業率(%) | 就業状況(%) | |||
雇用者 | 自営業者 | 役員 | |||
男性 | 55〜59歳 | 91 | 79 | 11 | 9 |
60〜64歳 | 80 | 72 | 16 | 11 | |
65〜69歳 | 56 | 58 | 27 | 14 | |
女性 | 55〜59歳 | 70 | 88 | 5 | 4 |
60〜64歳 | 55 | 82 | 6 | 5 | |
65〜69歳 | 35 | 72 | 10 | 7 |
総務省「就業構造基本調査(平成29年)」を元に、Route100編集部制作
60代後半でも、男性は2人に1人、女性は3人に1人が働いている状況です。
また、男女ともに雇用者として働いている人が多いことはイメージ通りだと思いますが、年代が上がるにつれて雇用者の割合は減少し、一方で自営業者の割合が増えています。
会社員などで働きながら培ってきたスキルを活かして、定年後に自営業者として独立して働いている人が一定数いることがうかがい知れます。
また、このように定年以降も働く人が多いと聞くと、ネガティブなイメージを持つ人も多いかも知れませんが、実際には就業意欲の高い人が多いと考えられます。
2. 60代以降の就業意欲
少し古いデータですが、内閣府が高齢者を対象に行なった調査では、4人中3人が少なくとも70歳まで働きたいと考えていることが分かっています。
内閣府「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(2021年3月公表)」を元に、Route100編集部制作
60歳を定年に、それ以降は働きたくないと考えている人は、10%以下です。
また、前の章で取り上げた総務省の調査データで、現在働いていないと答えた人のうち、就業を希望している人の割合は次のようになっています。
性別・年代 | 就業していない人の割合 | うち、就業希望者の割合 | |
男性 | 55〜59歳 | 9% | 52% |
60〜64歳 | 20% | 33% | |
65〜69歳 | 44% | 22% | |
女性 | 55〜59歳 | 30% | 34% |
60〜64歳 | 45% | 21% | |
65〜69歳 | 65% | 14% |
総務省「就業構造基本調査(平成29年)」を元に、Route100編集部制作
このように、60代以降でも実際に働いている人は多くいますし、働きたいと考えている人も多くいるのが現状です。
この背景には何があるでしょうか?
1つは、公的年金や厚生年金だけでは、ゆとりのある生活ができないことがあると考えられます。
2019年には金融庁の市場ワーキング・グループが発表したレポートをきっかけに、老後資金2,000万円問題が頻繁にメディアに取り上げられました。
実際に必要な老後資金が2,000万円かどうかは、さまざまな議論があると思います。
このレポートで重要なポイントは、2,000万円の根拠が年金のみで生活を行う夫婦世帯において、平均で毎月約5.5万円の生活費が不足しているという調査データです。
この生活費の不足分をまかなうために必要な資金が、2,000万円という報告でした。
ただ、実際にはこの資金を準備することができない世帯も多いため、定年後も働き続けることが選択肢の1つになっていると考えられます。
まとめ
制度面では定年延長などによって、長く働くことができる環境は時代に合わせて整ってくると思います。
その一方で、長く働くことには健康リスクもありますし、いつまでも働けるわけではありません。
そのため、市場ワーキング・グループが提言しているように、私的年金や資産運用などによって老後の準備を行っておくことは、人生100年時代において重要な考え方だと言えます。
具体的に、どのように準備を行っていくべきか分からない方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。
相談料は無料ですので、実際に投資・資産運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。
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※この記事では、一般的な社会状況を説明することを目的としています。
※年金や投資の活用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。