日本では、2018年以降、国の政策として働き方改革が進められています。
そのため、フリーランスとして働く人や副業を行なっている人も増えてきているのではないでしょうか。
日本は世界でも寿命が最も長い国であり、人生100年時代を先行する国です。
そのような背景もあって、長く働くことを志向する人も増えています。
企業への定年延長も義務化され、長く働くことのできる環境は整ってきていますが、自由に長く働くにはフリーランスも1つの選択肢です。
一方で、会社員が独立してフリーランスとして働く上では、社会保障について考えておく必要があります。
この記事では、フリーランスとして働く人が知っておくべき社会保障について考えていきます。
1. 雇用されていないフリーランスはここに注意!
フリーランスには、明確な定義がありません。
そのため、フリーランスと言っても、どのような就労形態であるかによって注意すべき点が変わってきます。
まずは、フリーランスとして働いている人の就労形態と、社会保障に注意が必要な形態について整理してみます。
雇用契約 | 就労形態 | 割合 | 社会保障に注意 |
なし | 個人事業主 | 74.1% | ★ |
定年退職者、被扶養者(学生・主婦/夫など) | 8.1% | ★ | |
企業の経営者 | 5.5% | ||
あり | いやゆる副業(雇用されながら、起業・個人事業主として仕事を行う人) | 10.2% |
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2021」を元に、Route100編集部作成
このように、副業として働いている人もいますが、多くの人は個人事業主を中心に専業としてフリーランスとして働いていることが分かります。
そして、社会保障に注意が必要なのは、まさにこの個人事業主として働いている人です。
2. 95%の人が必要性を感じる社会保障
実際に、フリーランスとして働いている人に次の質問をしたところ、多くの人が社会保障が必要だと回答しています。
Q.あなたは会社員・フリーランスなどの働き方の違いに関わらず、 医療や雇用、老後の財源に対する社会保障が提供されることが必要だと思いますか。
社会保障の必要性 | 割合 |
とても必要 | 80.3% |
どちらかといえば必要 | 15.4% |
どちらともいえない | 2.8% |
どちらかといえば必要ではない | 0.7% |
まったく必要ではない | 0.8% |
質問・回答ともに、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2021」より
「とても必要」または「どちらかといえば必要」と回答した人を合わると、95.7%とほとんどの人が必要だと答えています。
社会保障は、何かあったときのセーフティーネットで、ここでは3つの社会保障を取り上げています。
- 雇用保険 ・・・失業した場合などに、職業教育訓練の給付などを受けることができる(個人事業主本人は加入できない)
- 健康保険 ・・・日本は皆保険制度があるため、個人事業主は国民健康保険への加入が義務付けられる
- 年金 ・・・同様に日本は皆年金制度があるため、個人事業主は国民年金への加入が義務付けられる
会社員として働いているときには、これらの社会保障は会社が手続きをしてくれているため、通常意識することはないかもしれません。
一方で、個人事業主としてフリーランスで働く場合は、自ら加入手続きなどを行う必要があります。
フリーランスで働くことは、自由度とともに自己責任も大きくなることを意味しています。
いざとなったときに困ることがないよう、社会保障についてきちんと考えておく必要があります。
この中でも、雇用保険や健康保険は比較的、日常的な生活に近い制度であるため、必要性を感じることも多いと思います。
一方で、すぐに影響はないものの、将来の生活に大きく影響するのが年金です。
次に年金について、もう少し詳しく見ていきます。
3. フリーランスの年金
日本の年金制度は、3階建てでよく説明されます。
雇用契約がある会社員や公務員の場合、厚生年金への加入が企業に義務付けられています。
そのため、国民年金に加えて厚生年金を将来受け取ることができます。
一方で、自営業者の場合は、国民年金への加入だけが義務で、2階から上の部分は任意加入となっています。
そして、国民年金の受給額は1人あたり月に約6.5万円です。(金融広報中央委員会「国民年金(老齢基礎年金)の年間支給額(2019年度/令和元年度)」より抜粋、10円の位を四捨五入)
会社員として働いていた期間がある人の場合は、その期間の厚生年金保険料が上乗せされますが、少なくとも国民年金だけでは老後の生活に十分とは言えない人がほとんどではないでしょうか。
そのため、2階・3階の年金制度を使った準備を行うことがとても大切です。
しかし、実際には、社会保障が必要だと考えるひとが95%いる一方で、実際に厚生年金などへの加入を希望する人は50%程度にとどまります。
協会けんぽ・厚生年金への加入意向 | 割合 |
ぜひ加入したい | 22.0% |
どちらかといえば加入したい | 27.4% |
どちらともいえない | 32.4% |
どちらかといえば加入したいと思わない | 10.5% |
まったく加入したいと思わない | 7.7% |
質問・回答ともに、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2021」より
これは、厚生年金や国民年金基金へ加入すると、保険料の負担が年間数十万円の単位で増えることが要因だと考えられます。(厚生年金保険料は収入金額などによって変わります)
保険料が増えることはもちろん負担でありますが、2階の国民年金基金や3階の私的年金制度であるiDeCoを活用すると、年金の運用ができることに加えて所得控除を受けることができます。
年金の運用は、早めに始めて長く行うことが重要です。
仕事を辞めるときになって、老後資金が足りないことに気づいたのでは手遅れです。
フリーランスで働く場合には、今の生活の社会保障に加えて、老後資金のことをきちんと考えるようにしましょう。
まとめ
フリーランス・自営業の方は、自分で行わなければならないことが、いくつもあります。
その中でも年金は、すぐに影響することではないため意識する機会が少ないかもしれません。
しかし、老後資金の問題は短期的には解決することができないため、必要性を認識したらなるべく早く行動を起こす必要があります。
現在、フリーランスで働いている人や、これからフリーランスで働こうとしている人は、ぜひ年金のことを考えてみてください。
実際に「年金の運用を考えたい」「年金制度について詳しく知りたい」「老後資金のために資産運用を行いたい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?
相談料は無料ですので、実際に投資・資産運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。
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※この記事は、一般的な社会制度を説明することを目的としています。
※年金や投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。