7割の人が老後は今よりも「つつましい生活」になると回答、経済的不安をなくすには?

日本では、多くの人が老後の生活に不安を感じています。

そして、その不安のほとんどは「お金」か「健康」に関わることです。

健康は、どれだけ健康に配慮した生活をして、健康診断や人間ドックなどで早期発見に努めていたとしても、いつどのような病気や怪我をするかはどうしても分からない部分があります。

一方で、お金は老後の生活を想定し、老後に向けて準備を行うことである程度は計画することができます。

この記事では、アンケート結果を元に、老後の生活がどのようになると考えているか、想定している生活費と実際に必要な生活費にどの程度の差があるかを見ていきます。

1. 老後の生活は今よりも慎ましくなる?

今の生活と比べて、老後の生活水準がどうなるかを聞いたアンケートでは、多くの人が「つつましい生活になる」と答えています。

老後の生活は、それまでの生活と比べてどのようになるか?
割合
1993年 2019年
経済的に豊かな生活 5% 2%
同じ程度の生活 36% 21%
つつましい生活 47% 70%
分からない 12% 8%

生命保険文化センター「生活保障に関する調査(2019年12月発行)」を元に、Route100編集部制作

1993年と比べると、現在は現役時代と同じ生活を維持することができないと考える人が、大きく増加しています。

1993年とは、バブル崩壊で日本の景気が後退期に入っている時期です。

それでも、この老後の生活の捉え方の違いからは、社会保障への安心感や楽観的なムードが漂っていたことが窺い知れます。

では、必要だと考えている生活費と、実際にかかっている生活費にはどの程度の差があるのでしょうか?

2. 老後の生活費の認識差

同じアンケート調査で、老後の生活費が毎月最低いくら必要だと考えているかを聞いています。(夫婦2人の場合)

老後の最低生活費(夫婦2人)
割合
15万円未満 6%
15〜20万円未満 13%
20〜25万円未満 29%
25〜30万円未満 13%
30〜40万円未満 17%
40万円以上 2%
分からない 20%

生命保険文化センター「生活保障に関する調査(2019年12月発行)」を元に、Route100編集部制作

アンケートでは、20〜25万円が最も多くなっていて、実際の平均金額は22.1万円です。

しかし、実際の高齢夫婦2人世帯の支出は平均で約26.4万円です。
※夫婦のみの世帯で、夫65歳以上、妻60歳以上、夫婦ともに定職に就いていない場合
※金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理(2019年6月3日発表)」より

1月あたり、約4.3万円の差があります。

つまり、多くの人が老後はつつましい生活になると考えていますが、その想定よりも日常生活が経済的にもっと厳しい可能性があります。

この認識差である1月4.5万円を、想定される老後期間に当てはめるとかなり大きな金額になります。

  • 1年あたり:51.6万円
  • 10年では:516万円
  • 20年では:1,032万円
  • 30年では:1,548万円

上記の試算は、想定する生活費との差から求めたものですが、実際の年金生活者への調査結果からまとめた金額が、2019年に金融審議会 市場ワーキング・グループから発表されています。(高齢社会における資産形成・管理(2019年6月3日発表))

このレポートでは、毎月の不足金額は5.5万円だとされており、これに基づいて老後資金2,000万円話題になりました。

老後資金形成には時間が必要 年金で生活する夫婦2人世帯では毎月5.5万円の貯蓄を取り崩し

老後資金2,000万円問題は、このレポートが発表された2019年にメディアなどでも頻繁に取り上げられ、大きな議論を呼びました。

しかし、老後の生活費に対する認識と実際の差分を見ると、金額の大小はあるにせよ、現実的に実感することができる数字であることが分かります。

また、先ほどのアンケート結果では、老後の生活費として25万円以上が必要だと考えている人も30%以上存在します。

このように考えている人は、想定しているような老後生活を過ごすためには、より多くの老後資金を貯めておく必要があります。

一方で、冒頭でも触れた通り、いつどのような病気が発症するか分からない健康と違って、お金の場合はやるべきことが明確です。

老後資金として必要となる金額を目標として設定し、その目標に向けてどのように資産形成・資産運用を行っていくかを考えて実行していくだけです。

1,000万円、2,000万円といった金額を準備することは簡単ではありません。

だからこそ、なるべく早く資産形成を始める必要があります。

そして、資産形成は貯金だけでなく投資信託なども使って行っていく必要があります。

例えば、毎月1万円を30年間投資し続けた場合、金利によって次のような違いが生じます。

現在の銀行預金の金利は0.001%など、このグラフに表示しているグレーの線よりさらに低い金利です。

この金利の場合、30年後の資産は361万円です。

これが、金利3%で運用できた場合は588万円、金利5%で運用できた場合は837万円になります。

単純に毎月の投資金額を2万円にすると、1,000万円や1,500万円の資産額は現実的なものになってきます。

ぜひ、目標金額を定めて老後資金のための準備を行っていくようにしましょう。

平均の貯金額はいくら?人生100年時代の資産形成・投資術

まとめ

いかがでしたでしょうか?

突然、老後資金が2,000万円必要だと言われても、そんな金額を用意できるわけがないと思うかもしれません。

しかし、時間をかけて資産形成を行っていくことで、1,000万円単位の老後資金を作ることは可能です。

また、その前提としてまずは老後資金をいくら用意する必要があるか、目標とする金額を考える必要があります。

必要な老後資金はいくら?人生設計で考える自分の人生100年!

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※この記事では、一般的な社会状況を説明することを目的としています。
※年金や投資の活用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。


 

【フリーランス必読】社会保障が必要だと感じている人が95%以上

日本では、2018年以降、国の政策として働き方改革が進められています。

そのため、フリーランスとして働く人や副業を行なっている人も増えてきているのではないでしょうか。

日本は世界でも寿命が最も長い国であり、人生100年時代を先行する国です。

そのような背景もあって、長く働くことを志向する人も増えています。

企業への定年延長も義務化され、長く働くことのできる環境は整ってきていますが、自由に長く働くにはフリーランスも1つの選択肢です。

一方で、会社員が独立してフリーランスとして働く上では、社会保障について考えておく必要があります。

この記事では、フリーランスとして働く人が知っておくべき社会保障について考えていきます。

1. 雇用されていないフリーランスはここに注意!

フリーランスには、明確な定義がありません。

そのため、フリーランスと言っても、どのような就労形態であるかによって注意すべき点が変わってきます。

まずは、フリーランスとして働いている人の就労形態と、社会保障に注意が必要な形態について整理してみます。

雇用契約 就労形態 割合 社会保障に注意
なし 個人事業主 74.1%
定年退職者、被扶養者(学生・主婦/夫など) 8.1%
企業の経営者 5.5%  
あり いやゆる副業(雇用されながら、起業・個人事業主として仕事を行う人) 10.2%  

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2021」を元に、Route100編集部作成

このように、副業として働いている人もいますが、多くの人は個人事業主を中心に専業としてフリーランスとして働いていることが分かります。

そして、社会保障に注意が必要なのは、まさにこの個人事業主として働いている人です。

2. 95%の人が必要性を感じる社会保障

実際に、フリーランスとして働いている人に次の質問をしたところ、多くの人が社会保障が必要だと回答しています。

Q.あなたは会社員・フリーランスなどの働き方の違いに関わらず、 医療や雇用、老後の財源に対する社会保障が提供されることが必要だと思いますか。

社会保障の必要性 割合
とても必要 80.3%
どちらかといえば必要 15.4%
どちらともいえない 2.8%
どちらかといえば必要ではない 0.7%
まったく必要ではない 0.8%

質問・回答ともに、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2021」より

「とても必要」または「どちらかといえば必要」と回答した人を合わると、95.7%とほとんどの人が必要だと答えています。

社会保障は、何かあったときのセーフティーネットで、ここでは3つの社会保障を取り上げています。

  1. 雇用保険 ・・・失業した場合などに、職業教育訓練の給付などを受けることができる(個人事業主本人は加入できない)
  2. 健康保険 ・・・日本は皆保険制度があるため、個人事業主は国民健康保険への加入が義務付けられる
  3. 年金 ・・・同様に日本は皆年金制度があるため、個人事業主は国民年金への加入が義務付けられる

会社員として働いているときには、これらの社会保障は会社が手続きをしてくれているため、通常意識することはないかもしれません。

一方で、個人事業主としてフリーランスで働く場合は、自ら加入手続きなどを行う必要があります。

フリーランスで働くことは、自由度とともに自己責任も大きくなることを意味しています。

いざとなったときに困ることがないよう、社会保障についてきちんと考えておく必要があります。

定年延長で定年は65歳?70歳?人生100年時代の働き方を考える

この中でも、雇用保険や健康保険は比較的、日常的な生活に近い制度であるため、必要性を感じることも多いと思います。

一方で、すぐに影響はないものの、将来の生活に大きく影響するのが年金です。

次に年金について、もう少し詳しく見ていきます。

3. フリーランスの年金

日本の年金制度は、3階建てでよく説明されます。

年金制度のイメージ

雇用契約がある会社員や公務員の場合、厚生年金への加入が企業に義務付けられています。

そのため、国民年金に加えて厚生年金を将来受け取ることができます。

一方で、自営業者の場合は、国民年金への加入だけが義務で、2階から上の部分は任意加入となっています。

そして、国民年金の受給額は1人あたり月に約6.5万円です。(金融広報中央委員会「国民年金(老齢基礎年金)の年間支給額(2019年度/令和元年度)」より抜粋、10円の位を四捨五入)

保険の選択 フリーランス・自営業者の年金受給額は月6.5万円?国民年金以外にも備えを!

会社員として働いていた期間がある人の場合は、その期間の厚生年金保険料が上乗せされますが、少なくとも国民年金だけでは老後の生活に十分とは言えない人がほとんどではないでしょうか。

そのため、2階・3階の年金制度を使った準備を行うことがとても大切です。

老後資金形成には時間が必要 年金だけでは生活できない?老後の生活資金のための資産運用

しかし、実際には、社会保障が必要だと考えるひとが95%いる一方で、実際に厚生年金などへの加入を希望する人は50%程度にとどまります。

協会けんぽ・厚生年金への加入意向 割合
ぜひ加入したい 22.0%
どちらかといえば加入したい 27.4%
どちらともいえない 32.4%
どちらかといえば加入したいと思わない 10.5%
まったく加入したいと思わない 7.7%

質問・回答ともに、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2021」より

これは、厚生年金や国民年金基金へ加入すると、保険料の負担が年間数十万円の単位で増えることが要因だと考えられます。(厚生年金保険料は収入金額などによって変わります)

保険料が増えることはもちろん負担でありますが、2階の国民年金基金や3階の私的年金制度であるiDeCoを活用すると、年金の運用ができることに加えて所得控除を受けることができます。

iDeCoで老後資金を運用 私的年金制度のiDeCoを使って、自分らしく豊かな老後の生活を!

年金の運用は、早めに始めて長く行うことが重要です。

仕事を辞めるときになって、老後資金が足りないことに気づいたのでは手遅れです。

フリーランスで働く場合には、今の生活の社会保障に加えて、老後資金のことをきちんと考えるようにしましょう。

まとめ

フリーランス・自営業の方は、自分で行わなければならないことが、いくつもあります。

その中でも年金は、すぐに影響することではないため意識する機会が少ないかもしれません。

しかし、老後資金の問題は短期的には解決することができないため、必要性を認識したらなるべく早く行動を起こす必要があります。

現在、フリーランスで働いている人や、これからフリーランスで働こうとしている人は、ぜひ年金のことを考えてみてください。

実際に「年金の運用を考えたい」「年金制度について詳しく知りたい」「老後資金のために資産運用を行いたい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?

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年収1000万円でも4人に1人は家計が苦しいと回答、資産と負債のバランスをチェック!

日本人の平均年収は約436万円、それに対して年収の中央値は約370万円です。(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より)

平均年収は一部の富裕層によって引き上げられる傾向がありますが、中央値はちょうど真ん中の人の年収であるため、中央値の方が実感に近いと感じる人が多いかもしれません。

そのため、年収が1,000万円あれば生活が楽になると思う人は多いと思いますが、家計の運営が苦しいと感じる人は年収500万円で3人に1人以上、年収1,000万円でも4人に1人以上います。

この記事では、年代・年収別に家計の状況をどのように感じているかを見ていきます。

1. 50代まで、40%以上が家計は苦しい

まず、年代別に家計の運営にゆとりがあったか、苦しかったかの自己評価を見てみます。

年代 家計運営の評価
苦しかった 思った通りだった ゆとりがあった
20代 44% 20% 20%
30代 44% 30% 12%
40代 42% 34% 8%
50代 47% 27% 8%
60代 39% 30% 7%
70歳以上 34% 33% 5%

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和元年」を元に、Route100編集部制作

特に50代までは、いずれの年代でも40%以上が家計運営が苦しかったと回答しています。

また、60代以降では苦しいと答えた人はやや少なくなりますが、それでも3人に1人以上は苦しいと答えている状況です。

次に、家計全体のバランスをどのように捉えているかを見てみます。

年代 資産と負債のバランス
持ち家比率
(購入)
不安がある 不安はない ゆとりがある 意識していない
20代 12% 8% 12% 68% 4%
30代 21% 20% 8% 50% 50%
40代 19% 22% 9% 49% 65%
50代 19% 16% 12% 52% 64%
60代 11% 8% 9% 67% 61%
70歳以上 5% 4% 7% 76% 66%

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和元年」を元に、Route100編集部制作

すべての年代において、資産と負債のバランスはあまり意識していないことが分かります。

その一方で、30代から50代にかけては資産と負債のバランスに不安があると感じている人が、比較的多いことも分かります。

これには、持ち家比率と関係があると考えられます。

負債、つまり借入の多くは住宅ローンであることが分かっています。

そのため、自分で購入した家を持っている人が少ない20代では、資産と負債のバランスに不安を感じている人は少ないと考えられます。

また、同様に60代以降では、住宅ローンを返済し終える人が増えてくるため不安に感じる人が減ると考えられます。

一方で、家を購入しローンを抱えている人が多い、30代から50代は負債に対する不安を感じている人が多いと推測されます。

家とローンのバランス 平均の借入金額と利用目的は?老後の生活資金を早めに準備

次に、年収別に家計の傾向を見ていきます。

2. 年収1,000万万円でも、4人に1人が家計は苦しい

年収別の家計運営に対する、自己評価を次のようになっています。

年収 家計運営の評価
苦しかった 思った通りだった ゆとりがあった
300万円未満 54% 21% 2%
300〜500万円未満 45% 28% 6%
500〜750万円未満 38% 34% 8%
750〜1,000万円未満 25% 40% 13%
1,000〜1,200万円未満 27% 38% 17%
1,200万円以上 15% 46% 24%

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和元年」を元に、Route100編集部制作

全体として、年収が高くなるほど家計運営が苦しいと感じている人は減り、一方でゆとりがあると感じている人が増えていきます。

これは、感覚的にも当然のことだと考える人が多いのではないでしょうか。

ただ、一方で年収が500万円でも38%、つまり3人に1人以上の人が家計運営が苦しかったと答えています。

また、年収が1,000万円になっても、4人に1人は苦しいと回答しています。

これはなぜでしょうか?

先ほどと同じように、資産と負債のバランスを見ることで推測ができます。

年収 資産と負債のバランス
持ち家比率
(購入)
借入残高
(平均)
不安がある 不安はない ゆとりがある 意識していない
300万円未満 12% 3% 5% 74% 47% 702万円
300〜500万円未満 16% 9% 7% 65% 60% 1,288万円
500〜750万円未満 16% 15% 7% 59% 65% 1,613万円
750〜1,000万円未満 13% 22% 17% 45% 67% 2,278万円
1,000〜1,200万円未満 11% 25% 13% 50% 71% 2,753万円
1,200万円以上 9% 24% 33% 32% 78% 2,601万円

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和元年」を元に、Route100編集部制作

家計の運営と同様に、年収が高くなるほど不安を感じる人が減っていくことは変わりません。

年収が750万円を超えると、不安がない・ゆとりがあると感じている人が顕著に増えていることも分かります。

また、年収が高い人ほど資産と負債のバランスを意識している人が多いことも特徴です。(意識していないと答える人が減少)

その一方で、年収が高くなると持ち家比率が高くなり、借入残高も増えていく傾向が見て取れます。

つまり、年収が上がると家を購入する人が増え、購入する家の価格も高くなることが想定されます。

その結果、年収が高くなっても、資産と負債のバランスは取れているものの、日常の家計運営は苦しいと感じている人が一定数いることが考えられます。

また、資産と負債のバランスや家計の状況は、漠然と不安に感じのではなく、きちんと数字で管理し把握する必要があります。

不安を感じている人は、1度家計のバランスシートを作って、家計の状況を把握してみてください。

家計の計算と貯蓄 【30代〜50代の住宅ローン保有者向け】3ステップのバランスシートで家計を把握!

また、人生100年時代を生きる私たちは、老後に向けて老後資金を作っていく必要があります。

日常の家計運営はもちろん重要ですが、将来に向けた資産形成も同時に考えていきましょう。

必要な老後資金はいくら?人生設計で考える自分の人生100年!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

年収が増えても、思っていたよりも生活が楽にならないと感じた人もいるかもしれません。

重要なことは収入と支出のバランスを取ること、住宅を購入する場合は無理がない金額・借入を行うことです。

そして、老後資金を作るためには、保有資産が不動産に偏りすぎないようにすることも考慮した方が良いと考えられます。

「家計の収支を相談したい」「資産の負債のバランス見直しについて相談したい」「住宅ローンの返済と合わせて、資産形成を行っていきたい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?

相談料は無料ですので、実際に負債の見直しや投資・資産運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。

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※この記事は、一般的な社会状況を説明することを目的としています。
※投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。


 

【30代〜50代の住宅ローン保有者向け】3ステップのバランスシートで家計を把握!

家計の純資産額がいくらか、把握しているでしょうか?

会社の財務状況を把握する会計資料の1つに、バランスシート(貸借対照表)があります。

バランスシートは、資産と負債を整理して純粋な資産がいくらあるかを把握するもので、そのまま家計にも使うことができます。

負債がまったくない人は、持っている資産がそのまま純資産になるのでバランスシートを使う意味はほとんどありません。

一方で、住宅ローンや車のローンを持っている人は、定期的にバランシートを更新して家計の状況を把握し、問題がある場合は借入や資産運用の見直しを行うことをおすすめします。

この記事では、バランシートの考え方について見ていきます。

1. 負債(借入)の状況

まず、年代別に借入金の有無と負債の残高を見ると、次のようになっています。

年代
借入金のある
世帯の割合
借入金残高
(万円)
住宅ローン残高
(万円)
20代 42% 1,567 1,600
30代 56% 2,349 2,284
40代 65% 1,690 1,638
50代 54% 1,210 1,070
60代 34% 1,492 920
70代 15% 1,396 816

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」を元に、Route100編集部制作

30代から50代にかけては、全体の50%以上が借入を行なっており、そのほとんどが住宅ローンであることが分かります。

家とローンのバランス 平均の借入金額と利用目的は?老後の生活資金を早めに準備

住居の状況を見てみると、30代で購入していることが多いことが分かります。

年代
持ち家の割合
(自身で購入)
持ち家の割合
(相続など)
同居・賃貸など
20代 4% 4% 92%
30代 50% 4% 45%
40代 65% 5% 30%
50代 64% 11% 25%
60代 61% 22% 15%
70代 66% 21% 10%

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」を元に、Route100編集部制作

平均の初婚年齢は男性が31.1歳、女性が29.4歳ですので、結婚や子供の誕生などをきっかけに住宅の購入する人が多いと考えられます。(厚生労働省「人口動態調査」より)

また、住宅の購入は40代までがほとんどであり、50代以降は親などからの相続・贈与によって持ち家に移行する人も増えてきます。

最終的に、持ち家以外を住居とする人は全体の1-2割まで減ります。

20代の借入金の状況と持ち家比率に乖離が見られますが、30代から50代にかけては大体6割ほどの人が家を購入し、それと同時に借入を行なっていると考えられます。

そのため、主にバランスシートで資産の状況を管理するべき人は、30代から50代で住宅ローンがある人だと言えます。

ただし、この条件に当てはまらない人でも、借入がある人はぜひバランスシートを使って純資産額を把握してみましょう。

次に、具体的にバランスシートの作り方を見ていきます。

2. 家計のバランスシートの作り方

冒頭でも触れましたが、バランスシートとは貸借対照表のことで、企業の財務状況を把握するための会計資料として使われています。

例えば、上場している企業に提出が義務付けられている有価証券報告書には、バランスシートが必ず記載されています。

企業の財務状況を把握するには、バランスシートの他に損益計算書(PL)やキャッシュフロー計算書があり、このような情報や事業状況を総合して財務の健全性を確認します。

一方で、家計の財務状況は家計が赤字でない限り、バランスシートがあれば概ね把握することができます

仮に家計が赤字である場合は、損益計算書の家庭版とも言える家計簿などを元に、黒字になるように支出を抑えるなどの対策を行う必要があります。

では、実際に家計のバランスシートをどのように作るかを見ていきます。

先ほどもお伝えした通り、バランスシートが必要となるのは基本的に負債・借入があるケースです。

そのため、ここでも住宅ローンや車のローンがあるケースを考えてみます。

資産 負債
流動資産
 現預金   300
 有価証券  
  国債     50
  株式   100
  投資信託 200
固定資産
 自宅    2,300
 自動車     50


総資産額  3,000

住宅ローン 2,500
車のローン  100
教育ローン    50


総負債額  2,650

純資産
(資産の合計 – 負債の合計)
純資産額     350

企業の場合は、会計法に則って正しく仕訳を行う必要がありますが、家計のバランスシートは自分で把握することが目的ですので、難しく考える必要はありません。

家計のバランスシートは、3つのステップで作ることができます。

家計のバランスシートの作り方

  1. 自分が保有している資産を洗い出し、表の左側に記入する
    ※ただし、この際に金額は購入価額ではなく必ず時価で記入する
  2. 自分が保有している負債を洗い出し、表の右上に記入する
  3. 右下の純資産額を計算する(1. 資産額の合計 – 2. 負債額の合計)

流動資産は、証券会社のインターネット口座などで、簡単に時価を確認することができます。

一方で、固定資産の時価を把握することは、少し難しいかもしれませんが、今は簡単に査定ができるWebサービスなどもあるため、大まかで良いので確認してみることをおすすめします。

そして、バランスシートができたら、確認するポイントは3つです。

家計のバランスシートの確認ポイント

  1. 純資産額がプラスになっているか
  2. 純資産額が1年前より増えているか
  3. 総資産額に対する純資産額の割合が、20%以上になっているか

まず、1つ目の通り純資産額がプラスであることが最も重要です。

純資産額がマイナスということは、保有している資産をすべて売却したとしても借金が残ることを意味しています。

そのため、純資産額がマイナスの場合は早急に家計の見直しを行い、まずプラスにする必要があります。

2つ目は、純資産額が1年前より増えている、つまり貯蓄や投資によって資産が増えているかのチェックです。

私たちは、将来に向けて年金や資産運用によって老後資金を作る必要があります。

そのため、必要となる老後資金額の目標を作り、その目標に向けて毎年純資産額が増えているかチェックすることが望ましいと言えます。

必要な老後資金はいくら?人生設計で考える自分の人生100年!

最後の3つ目は、総資産額に対して純資産額の割合が20%を超えていることです。

この20%という数字はあくまで目安で、この割合が高いことに越したことはありません。

仮に借入がまったくない場合は、この数字が100%となり、これが借入がない場合はバランスシートの作成が必要ないと言った理由です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

貸借対照表と言われると、なんだか難しく感じてしまうかもしれませんが、バランスシートを作ることは意外と簡単です。

また、バランスシートは1年に1回でも良いので、定期定期に更新していくことが望ましいと言えます。

純資産額が増えていけば楽しくなると思いますし、ローンの組み直しなど定期的に家計の改善を考えるきっかけにもなります。

もし「家計を見直したいけど、どこを改善すれば良いか分からない」「資産は多少あるけど、純資産額が増えない」「資産を増やすためのアドバイスが欲しい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?

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ライフプラン・資金計画とは?2人に1人が立てているって本当?

ライフプランや資金計画を立てているでしょうか?

2016年にライフシフトが出版されてから、「人生100年時代」という言葉が頻繁に使われるようになりました。

日本は世界に先駆けて、人生100年時代を迎える長寿大国です。

人生は何が起こるか分からないため、計画を立てても意味がないと考える人もいるかもしれません。

しかし、計画を立てることの重要さは、計画通りに人生を歩むことではなく、自分で自分の人生を考えることと、計画からずれたことに気づき軌道修正ができることです。

この記事では、ライフプランや資金計画とは何か、どのくらいの人が計画を立てているかを見ていきます。

1. ライフプランと資金計画

ライフプランと資金計画は何が違うでしょうか?

どちらも明確な定義がないため、実際には混同して使われていることも多いですが、大まかには次のように考えることができます。

資金計画とは

資金計画は、日常の収入と支出をベースに、各ライフイベントで必要となる支出を考慮して、将来の家計の収支を予測することです。

ライフイベントとは、次のように生活が大きく変わるイベントのことを指し、同時に家計の収入や支出が変化することを意味しています。

  • 就職・転職
  • 結婚
  • 住宅の購入
  • 子供の誕生・進学
  • 定年

人生の3大支出は、住宅購入費・教育費・老後の生活費だと言われています。

人生において必要となる支出・費用は、ライフスタイルによって大きく変わってきます。

そのため、1人1人が自分の人生において必要な資金と時期を考え、資金計画を立てることが重要です。

特に、老後の生活費は金額も大きく、準備に時間が必要になることが多いため、「まだ先のことだから」と先送りにせず、早めに準備を行うことが大切です。

必要な老後資金はいくら?人生設計で考える自分の人生100年!

ライフプランとは

ライフプランは、資金計画よりも広く人生の計画を立てることです。

資金計画は名前の通り、家計の収支、つまりお金の計画を立てることが目的です。

それに対し、ライフプランは自分がどういう人生を送りたいか、もっと広義に考えることです。

例えば、日本で生活をするか、海外で生活をするかによって先ほどのライフイベントは大きく変わってきます。

そのため、ライフプランを考えた上で、資金計画を立てることが望ましいと考えられます。

資金計画で取り上げたライフイベントを軸に、ライフプランで考えるべき具体的なポイントを例示してみます。

  •  就職・転職
    • 何歳で就職し、どこでどのような仕事をし、どのような働き方をするか
    • 仕事を通して、どのようなスキルを身に付けるか
    • 転職や起業をするか、する場合は何歳でどのように行うか
  • 結婚
    • 結婚をするか、ずっと独身でいるか
    • 結婚する場合は何歳を希望するか
  • 住宅の購入
    • 住宅を購入するか賃貸か
    • 購入する場合は、どこにどのような住宅を購入するか、資金がいくら必要でローンを組む場合は何年か
  • 子供の誕生・進学
    • 子供は何人を希望していて、何歳で誕生することを考えているか
    • 子供は大学まで進学する予定か、進学先は国公立か私立か
  • 定年
    • 何歳で仕事を辞めるか

例えば、生涯未婚率は1990年頃までは男女ともに5%未満でしたが、2020年時点では男性は25%、女性は17%を超えています。(厚生労働省「人口動態調査」より)

このように、以前は結婚することが社会通念上、当たり前だとされていたことが現代では当たり前ではなくなってきています。

また、働き方改革も進められているように、フリーランスで働く人も増えています。

自分はどのように人生を歩むのか、つまりライフプランを考えることが必要だと考えられます。

ここで1点重要なことは、あまり難しく考えすぎないことと、ライフプランは変化していくものだと考えることです。

何歳で結婚するか、子供を何人授かるかは、希望はあっても思い通りにはいかないことが通常です。

そのため、あくまで現時点のライフプランだと考え、1年に1回など定期的に見直しを行っていくものだと捉えておくことが望ましいと言えます。

では、次にどのくらいの人がライフプランや資金計画を立てているかを見ていきます。

2. ライフプランの計画率は約30%

 

ライフプランは、約3割の人が立てています。

ただし、生活設計という表現でアンケートを取っているため、先ほどお伝えしたようなライフプランとしてどこまでを考えているのか、その程度までは分かりません。

生活設計の策定状況 単身世帯 2人以上世帯
生活設計を立てている 30% 43%
今後立てるつもり 40% 36%
立てるつもりはない 30% 19%

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」を元に、Route100編集部制作

また、ライフプランを計画している人の割合は、独身の人よりも結婚している人の方が多くなっています。

就職や転職はほとんどの人が考えることだと思いますが、ライフイベントには結婚や子供に関わることも多くあります。

そのため、結婚している世帯の方がライフプランを立てるきっかけや必要性が高いと考えられます。

3. 資金計画率は50%以上

同じように、資金計画の策定率についても見てみます。

資金計画の策定状況 単身世帯 2人以上世帯
資金計画を立てている 63% 59%
今後立てるつもり 29% 28%
立てるつもりはない 8% 13%

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」を元に、Route100編集部制作

資金計画は、ライフプランと違って独身の人の計画率が高い状況になっています。

これは、結婚している人の場合、家計の管理などを配偶者に任せている人もいるからかもしれません。

独身の場合、誰かに家計を任せることはできないため、きちんと資金計画を立てている人が多いと考えられます。

また、ライフプランに比べて資金計画を立てている人の割合が多くなっています。

資金計画はより具体的で日常の生活に直結しているため、ある程度計画しやすいと考えられます。

ただし、先ほどお伝えした通り、資金計画はライフプランによって変わってくるため、あまり難しく考えすぎずに1度ライフプランを考えてみることをおすすめします。

100年時代のライフプランニング ライフプランとは?人生設計であなたらしい人生100年時代を!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

人生100年時代と言われるいま、ライフプランと資金計画を立てることはとても重要です。

このような人生にしたいという希望で構わないので、まずはライフプランを考えてみましょう。

また「ライフプランの考え方が分からない」「ライフプランを考える手伝いをして欲しい」、「ライフプランと合わせて資金計画を考えたい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?

相談料は無料ですので、ライフプラン作りを手伝ってもらっても良いと思います。

ライフプランの相談ができるアドバイザーはこちらで探すことができます。

※この記事は、一般的な社会環境を説明することを目的としています。
※投資・資産運用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。


 

2025年定年延長を前に、60代男性は2人に1人以上が働く現状

日本は長寿化や少子高齢化も背景に、定年の延長が予定されています。

実際に65歳へ定年延長が義務化されるのは2025年ですが、既に60代は就業率が高い状況にあり、男性は2人に1人以上が働いている状態です。

この記事では、60代の就業率と就業希望者の割合を見ていきます。

1. 60代の就業率と就業状況

日本が、世界でも最も長寿国であることは多くの人が知っていることだと思います。

そして、寿命とともに健康寿命も伸びてきています。

これは、これまで高齢とされてきた年齢になっても、働くことができる状態であることを意味しています。

そのような状況に合わせて、制度面でも徐々に定年は延長されてきています。

定年延長で定年は65歳?70歳?人生100年時代の働き方を考える

法律で定められている定年は2021年6月時点で60歳ですが、2021年には70歳定年が企業の努力目標として設定され、2025年には65歳定年が企業に義務付けられます。

そのため、現時点では定年65歳は義務ではありませんが、実際には男女ともに65歳未満の就業率は50%を超えています。

性別・年代 就業率(%) 就業状況(%)
雇用者 自営業者 役員
男性 55〜59歳 91 79 11 9
60〜64歳 80 72 16 11
65〜69歳 56 58 27 14
女性 55〜59歳 70 88 5 4
60〜64歳 55 82 6 5
65〜69歳 35 72 10 7

総務省「就業構造基本調査(平成29年)」を元に、Route100編集部制作

60代後半でも、男性は2人に1人、女性は3人に1人が働いている状況です。

また、男女ともに雇用者として働いている人が多いことはイメージ通りだと思いますが、年代が上がるにつれて雇用者の割合は減少し、一方で自営業者の割合が増えています

会社員などで働きながら培ってきたスキルを活かして、定年後に自営業者として独立して働いている人が一定数いることがうかがい知れます。

日本人は老後に収入のために働く人が多い?欧米との違いは?

また、このように定年以降も働く人が多いと聞くと、ネガティブなイメージを持つ人も多いかも知れませんが、実際には就業意欲の高い人が多いと考えられます。

2. 60代以降の就業意欲

少し古いデータですが、内閣府が高齢者を対象に行なった調査では、4人中3人が少なくとも70歳まで働きたいと考えていることが分かっています。

収入を伴う労働の希望年齢内閣府「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(2021年3月公表)」を元に、Route100編集部制作

60歳を定年に、それ以降は働きたくないと考えている人は、10%以下です。

また、前の章で取り上げた総務省の調査データで、現在働いていないと答えた人のうち、就業を希望している人の割合は次のようになっています。

性別・年代 就業していない人の割合 うち、就業希望者の割合
男性 55〜59歳 9% 52%
60〜64歳 20% 33%
65〜69歳 44% 22%
女性 55〜59歳 30% 34%
60〜64歳 45% 21%
65〜69歳 65% 14%

総務省「就業構造基本調査(平成29年)」を元に、Route100編集部制作

このように、60代以降でも実際に働いている人は多くいますし、働きたいと考えている人も多くいるのが現状です。

この背景には何があるでしょうか?

1つは、公的年金や厚生年金だけでは、ゆとりのある生活ができないことがあると考えられます。

2019年には金融庁の市場ワーキング・グループが発表したレポートをきっかけに、老後資金2,000万円問題が頻繁にメディアに取り上げられました。

実際に必要な老後資金が2,000万円かどうかは、さまざまな議論があると思います。

このレポートで重要なポイントは、2,000万円の根拠が年金のみで生活を行う夫婦世帯において、平均で毎月約5.5万円の生活費が不足しているという調査データです。

老後資金形成には時間が必要 年金だけでは生活できない?老後の生活資金のための資産運用

この生活費の不足分をまかなうために必要な資金が、2,000万円という報告でした。

ただ、実際にはこの資金を準備することができない世帯も多いため、定年後も働き続けることが選択肢の1つになっていると考えられます。

まとめ

制度面では定年延長などによって、長く働くことができる環境は時代に合わせて整ってくると思います。

その一方で、長く働くことには健康リスクもありますし、いつまでも働けるわけではありません。

そのため、市場ワーキング・グループが提言しているように、私的年金や資産運用などによって老後の準備を行っておくことは、人生100年時代において重要な考え方だと言えます。

具体的に、どのように準備を行っていくべきか分からない方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。

相談料は無料ですので、実際に投資・資産運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。

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※この記事では、一般的な社会状況を説明することを目的としています。
※年金や投資の活用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。


 

毎月分配型のメリットとデメリット、投資信託保有者の考え方は?

どのような金融商品にもメリットとデメリットがあります。

毎月分配型の投資信託も同様です。

この記事では、実際に投資信託を保有している人が、毎月分配型の投資信託にどのようなメリット・デメリットを感じているかを見て行きます。

1. 毎月分配型・投資信託の運用イメージ

まず、毎月分配型の投資信託の運用イメージを見てみます。

大まかに言うと、投資信託はファンドが多くの投資家からお金を集め、集まった多額の資金を元に運用を行うことで、収益を得る金融商品です。

投資家は、その収益を次のいずれかの方法で受け取ることができます。

  1. 定期的に、分配金として受け取る
  2. 投資信託を売却・償還するときに、基準価額の譲渡益(売買益)を受け取る
  3. 分配益と譲渡益の両方

このうち、毎月分配型の投資信託は、1の分配金に重きを置いた投資信託です。

同じ毎月分配型であっても商品によって運用方法は異なりますが、1例として運用イメージをあげてみます。

毎月分配型・投資信託の運用イメージ

※運用イメージの理解を優先し、加入者が増えることによる資産額の増加は考慮していません。
※現実には、基準価額が全く変動しないことはあり得ないため、少なからず譲渡損益が発生します。

毎月分配型の投資信託は、名前の通りファンドが運用して得られた収益を、毎月投資家に還元するものです。

ファンドからすると、収益を常に還元し続けることになるため、収益によって純資産額を増やすことは難しいと言えます。(純資産額は、投資信託を購入する人が増えることによって増える可能性がありますが、口数が増えるため基準価額は大きく変わりません。)

そのため、投資家は毎月分配金を受け取ることができる一方で、投資信託の売却時に譲渡益(売買益)を受け取ることはあまり期待できません

また、商品によっては、分配金を支払うために元本を削ることもあるため(特別分配金といいます)、最終的には譲渡損が発生することもあり得ます。

※必ずしも、譲渡損が発生するわけではありません。

ただし、譲渡損については毎月分配型の投資信託に限った話ではなく、分配金がない投資信託であっても発生する可能性はあります。

そのため、金融商品としての投資信託の特性と合わせて、個別商品の特徴や運用方法を把握し、基準価額がどのように変化するかを考えた上で投資を行う必要があります。

次に、実際に投資信託を保有している人が、毎月分配型のメリット・デメリットをどのように感じているかを見ていきます。

2. 投資信託保有者が感じるメリット

まず、投資信託を行なっている人の中で、毎月分配型の投資信託に魅力を感じている人は、やや少ない傾向になっています。

毎月分配型の投資信託に魅力を感じるか 割合
魅力を感じる 29%
どちらともいえない 32%
魅力を感じない 39%

ただし、3割近くの方は魅力を感じているので、決して少ないわけではありません。

 

次に、具体的にどのような点を魅力的に感じているか、どのような点が魅力的でないかを見ていきます。

先に魅力を感じる理由についてです。

魅力を感じる理由 割合
分配金を受け取ることで安心できる 60%
毎月利益を確定したいから 55%
年金収入を補完することができる 20%
他に魅力的な金融商品がなかった 4%
その他 1%未満

投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書(2020年)」を元に、Route100編集部制作

この中で、投資行動として合理的だと考えられる理由は、3つ目の「年金収入の補完」です。

例えば、年金で生活する無職の夫婦2人世帯では、平均で生活資金が毎月5.5万円足りないという調査結果があります。

そのため、老後の生活資金源として、毎月分配型の投資信託を活用することは選択肢の1つとして有効かもしれません。

老後資金形成には時間が必要 年金で生活する夫婦2人世帯では毎月5.5万円の貯蓄を取り崩し

一方で、安心・利益を確定したいという理由については、再考する必要があるかもしれません。

例えば、保有している投資信託に利益が出ているかどうかは、現在ではインターネットのサイトでリアルタイムで常に確認することができます。

また、利益の確定については、先ほどの運用イメージでお伝えした通り、分配金を受け取ることができても最終的に譲渡損が発生することもあります

特に若い世代の方は、目先の分配金だけでなく、トータルの損益を考える必要があります。

次の、魅力に感じない点を見ることで、長期視点での観点が理解できます。

3. 毎月分配型のデメリット

最後に、毎月分配型の投資信託に魅力を感じない理由を見ていきます。

魅力を感じない理由 割合
分配金の額だけ基準価額が下がるから 24%
分配金は必要ない 20%
長期投資に合わない 20%
分配金が少ない 18%
分配金で元本の一部が払い戻されるケースがある 14%
複利効果が得られない 14%
分配金が変動するケースがある 12%
その他 14%

投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書(2020年)」を元に、Route100編集部制作

意見がさまざまな理由に別れていますが、おおむね分配金によって純資産額が下がることに端を発しています。

純資産額が下がると、次のような影響が発生します。

  • 純資産額の減少は、そのまま基準価額の減少に直結し譲渡益が減る、または譲渡損が生じる
  • 純資産額が下がると、投資に使える資金が少なくなる
  • 投資資金が少なくなることで、長期的な収益力が下がる可能性がある

このように、長期投資を考えている人にとっては、毎月分配型の投資信託は魅力を感じられない金融商品だと言えます。

一方で、魅力を感じる点で見てきた通り、年金受給世帯などにとっては活用方法もあると考えられます。

毎月分配型の投資信託に限らず、投資の目的に合わせた商品選択が必要だと言えます。

ポートフォリオを考える 投資の基本!投機とは違う、失敗しないための資産形成術

まとめ

いかがでしたでしょうか?

分配型の投資信託は、定期的に分配金を受け取ることができるため、生活資金の収入源として考えることができます。

一方で、長期投資に向いている金融商品だとは言えないため、目的に応じて使い分ける必要があります。

実際に「毎月分配型の活用方法について相談したい」「現在保有している投資信託について、見直しの相談がしたい」、「長期運用に向いた投資信託を教えて欲しい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?

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8割以上が老後の不安は「公的年金では足りない」不安解消のために行うべきこと

老後の生活に何か不安はあるでしょうか?

生命保険文化センターが行った調査では、老後の不安としてお金と健康を取り上げている人が多くいます。

そして、その中でも8割以上の人が「公的年金だけでは足りない」と答えています。

また、年金に留まらず、お金に関する不安を感じている人は多いようです。

この記事では、具体的にどのような不安を感じているかを見ていきます。

1. 老後生活への不安は、お金・健康・仕事

生命保険文化センターでは、3年ごとに生活保障に関する調査を行なっています。

アンケートの対象者は、全国の18歳から69歳までの男女です。

調査結果は、次のようになっています。

老後生活への不安 割合
お金 公的年金だけでは不十分 83%
退職年金や企業年金だけでは不十分 39%
自助努力による経済的準備が不足する 39%
配偶者に先立たれて、経済的に苦しくなる 22%
インフレで、貯蓄などの準備資金が目減りする 16%
いざというときに、子供からの援助が期待できない 14%
利息・配当収入が期待どおりにならない 12%
健康 健康を害し、日常生活に支障が出る 57%
仕事 働きたくても仕事が確保できない 32%
住居 住居が確保できない 5%
その他 1%

生命保険文化センター「生活保障に関する調査(2019年12月発行)」を元に、Route100編集部制作

そもそも、お金に関する設問中心になっていることもありますが、様々なお金に対する不安を感じていることが分かります。

その中でも、多くの人は生活の資金源としての年金や準備資金への意識が高いと言えます。

2. 老後の生活資金が最大の不安

老後の生活資金源は、日本だけでなく欧米でも公的年金が軸になっています。

日本の国民年金は、国民全員に加入が義務付けられています。

きちんと納税を行なっておくことで、年金を受け取ることができますが、その給付額は1人あたり月に約6.5万円です。

保険の選択 フリーランス・自営業者の年金受給額は月6.5万円?国民年金以外にも備えを!

どうでしょうか?

月に6.5万円、夫婦でも約13万円です。

持ち家の方も多いかもしれませんが、それでも国民年金だけで生活することは難しいと感じる人が多いのではないでしょうか?

例えば、大学卒業者の平均初任給は22万6,000円です。(厚生労働省「令和2年度 賃金構造基本統計調査」)

このことと比較をしても、国民年金だけで生活を行うは厳しいと言えます。

特に、自営業・フリーランスの方は注意が必要です。

会社員や公務員の場合は、特に意識をしていなくても厚生年金に加入しているため、国民年金に加えて厚生年金が上乗せされます。

一方で、自営業・フリーランスの方は、年金の受給額を増やすには、自ら国民年金基金やiDeCoなどの私的年金に加入し、年金を拠出する必要があります。

これらの年金は任意加入であるため、誰かが強く加入を勧めてくることはありません。

そのため、自ら備えを行なっておかないと、いざ老後を迎えたときに、生活資金に困ってしまう可能性があります。

次にお金とも関係する、健康への不安について見ていきます。

3. 健康への不安

日本が世界でもトップレベルの長寿国であることは、多くの人が知っていることだと思います。

そして、寿命の長さと合わせて、日本が不健康期間においても世界でも最も長い国であることは知らない方が多いのではないでしょうか?

平均寿命と健康寿命の差(不健康期間)厚生労働省「簡易生命表(2018年)」を元に、Route100編集部作成

不健康期間とは、日常的な生活に介護や医療を必要とする期間のことです。

この不健康期間が、日本人男性は約9年間、女性では12年を超えます。

この事実からも、2人に1人以上が、老後の健康に不安を感じていることは正しい認識だと考えられます。

様々な健康の備えを 長い健康寿命で老後の不安を解消!定年延長の人生100年時代に備える

また、介護や医療に頼ることは、そのまま介護・医療費が必要となることに直結します。

高齢者は医療費の負担が軽減されますが、介護・医療が必要になることも想定して、お金の準備を行なっておくことが望ましいと言えます。

最後に、仕事への不安についても考えてみます。

4. 仕事への不安

約3人に1人は、老後の生活への不安として、働きたくても仕事が確保できないことだと答えています。

先ほど、日本は不健康期間が長いとお伝えしましたが、健康寿命自体は伸びているため、元気に働くことのできる期間も伸びています。

そして、そのような寿命と健康寿命が伸びていることに合わせて、日本は制度としての定年も延長される予定です。

定年延長で定年は65歳?70歳?人生100年時代の働き方を考える

実際に、2021年には定年70歳が企業の努力目標となり、2025年には定年65歳が義務化されます。

つまり、長く働きたいと思ったら、長く働くことのできる環境は徐々に整備されてきています。

その一方で、先ほどのお金への不安を背景に、日本人は老後も収入を伴う仕事に就きたいと考えている人が多いようです。

欧米でも、収入を目的として老後の仕事を求める傾向はありますが、日本は約半数が収入を目的としており、特に顕著だと言えます。

日本人は老後に収入のために働く人が多い?欧米との違いは?

仕事を続けることは、人間関係や健康の維持にもつながるため、健全なことだと言えます。

このように、お金と健康と仕事は、それぞれが関係しており、切っても切り離せない関係にあります。

そして、健康を害してしまった場合、働くことができなくなり、さらに介護・医療費が必要となり、想定していた以上に生活資金の確保が難しくなってしまうことも考えられます。

そのため、長く働くことを考えながらも、仕事以外の収入源として年金や老後資金の備えを行なっておくことも重要です。

さらに、老後の生活資金を考えるときに重要なことは、必要な老後資金の金額は1人1人のライフスタイルによって異なることです。

国民年金と厚生年金だけで足りる人もいれば、旅行や趣味にもっとお金が必要な人もいます。

そのため、自分のありたい老後を考えた上で、必要な老後資金を考える必要があります。

必要な老後資金はいくら?人生設計で考える自分の人生100年!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

多くの人が抱えている老後の不安と、実際の年金額や不健康期間をデータから見ることで、不安だと感じる背景が理解できたのではないでしょうか。

もし、不安に感じることがあれば、やはり不安を解消するために行動するしかありません。

そのため、「実際に老後資金がいくら必要か知りたい」「老後に備えて、年金や資産を運用したい」「具体的なアドバイスが欲しい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?

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4割の人は見直すべき?長期投資に向かない毎月分配型の投資信託

毎月分配型の投資信託は、つみたてNISAでも対象外となっていることから、長期の資産運用には向いていない商品だと言えます。

また、投資信託は基本的には長期投資に向いている商品であるため、老後資金のために毎月分散型の投資信託を保有することは適切だとは言えません。

しかし、実態として投資信託を保有している人の4割近くが、毎月分散型の投資信託を保有しています。

この記事では、毎月分散型の投資信託を保有している人の割合と、その理由を見ていきます。

1. 毎月分散型の投資信託とは?

まず、そもそも毎月分散型の投資信託とはどのような商品でしょうか?

その運用イメージを見てみます。

毎月分配型・投資信託の運用イメージ

毎月分配型の投資信託は、ファンドの資産運用によって得られた利益を、名前の通り毎月投資家に還元する投資信託です。

ここで、分配がないより、毎月お金がもらえる方が良いのでは?と考えるのは早計です。

それは、お金には多いほど増えやすい性質があるためです。

例えば、同じ年利10%で投資を行った場合、元手が100万円の場合は利益が10万円ですが、元手が1,000万円の場合は利益が100万円になります。

増える率は同じでも、絶対額で見るとお金は多いほど増えやすくなります

これは、個人でもファンでも変わりません。

毎月分配型の投資信託の場合、増えたお金を常に投資家に還元し続けるため、投資資金である純資産が増えにくい構造になっています。

そのため、短期的にお金を受け取りたい人にとってはメリットがありますが、長期的な資産運用には向いていないと言えます。

実際に、長期の資産運用に向けた制度であるつみたてNISAでは、毎月分配型の投資信託は運用商品から除外されています。(金融庁「つみたてNISAの会議・法令等」より)

短期投資と長期投資 毎月分配型の投資信託が資産運用に向かない理由|つみたてNISAの対象外

しかし、実際には、毎月分配型の投資信託を保有している人は多いことが分かっています。

2. 毎月分配型・投資信託の保有率

投資信託を保有している人の中で、毎月分散型の投資信託を保有している人の割合は次のようになっています。

年代 保有率(%)
全年代 39
20代 43
30代 35
40代 32
50代 34
60代 41
70代 51

投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書(2020年)」を元に、Route100編集部制作

投資が必要だと考えている人の多くは、利息が期待できない、もしくは将来や老後の生活費のためと考えています。

  • 預貯金では利息が期待できない(66%)
  • 将来の生活資金として準備できる(45%)
  • 現在の保有額では将来の生活に不安(26%)
投資が必要な割合 投資が必要だと考える人の割合と、必要・必要でない理由

先ほどお伝えした通り、毎月分散型の投資信託は長期の資産運用には向いていないため、将来や老後の生活資金のために保有しているのだとすると、目的に沿っていない可能性があります。

毎月分散型投資信託の保有率は全体でも40%近くありますが、特に20代・60代・70代で高くなっています。

年金受給世代に入る60代・70代では、長期投資目的ではなく、年金の足しとして生活費に充てる目的で毎月分散型投資信託を保有することには一定の合理性があると考えられます。

一方で、20代はこれから資産形成を行っていく世代ですので、毎月分散型の投資信託を保有することは適切ではないかもしれません。

同様に、30代・40代も相対的に少ないとはいえ、3割を超える人が保有しています。

人生100年時代において、特に若い世代は老後に向けた資産形成を行っていく必要があるため、投資を行う目的と保有している金融商品が合っているかを改めて考えてみる必要があるかもしれません。

必要な老後資金はいくら?人生設計で考える自分の人生100年!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

分配型の投資信託は短期的に現金を受け取ることができますが、基本的に長期投資に向いている商品ではありません。

一方で、投資信託には様々な商品があることも事実で、2021年6月18日時点で日本で販売している投資信託の数は5,800を超えます。

様々な金融商品と通貨 投資信託にはどんな種類がある?保有割合は株式が多くETFも増加中

そのため、投資信託を選ぶことが難しいと感じる人も多いと思いますし、投資信託を保有しているものの、このまま運用して良いのか疑問を持っている人もいると思います。

そういった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?

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※投資信託の活用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。


 

毎月分配型の投資信託が資産運用に向かない理由|つみたてNISAの対象外

毎月分配型の投資信託は、少なくとも長期の資産運用には向いていない商品です。

一見、分配金がないより、もらえた方が良いと思うかもしれませんが、そうとは限りません。

長期的な資産運用においては、分配金がない方が有利なケースが多いと言えます。

実際に、分配金なしで運用した場合と毎月分散型で運用した場合の違いを見比べながら、考えていきたいと思います。

1. 分配金の仕組み

投資信託で得られる利益には、「分配金」と「譲渡益」の2つがあります。

分配金は、投資信託を運用した収益の一部を定期的に投資家に還元する仕組みです。

一方の譲渡益は、投資信託の運用や加入者が増えることによって純資産額が増え、投資信託自体の価値が上がることによって得られる売買益です。(投資信託の価値が下がった場合は、譲渡損になります。)

投資信託と分配金(通常分配金)

ここで重要なことは、分配金を支払うと投資信託の純資産額は減るということです。

その理由は、分配金は投資信託の純資産から支払われるからです。

つまり、分配金の支払いがあると、譲渡益(保有しているため正確には含み益)は一時的に減ることになります。

そのため、分配金は「もらえるもの」ではなく、利益の一部を確定して「受け取るもの」と捉える方が正しい認識だと言えます。

投資信託は分配金なしを選択すべき?目的とトータルの利益を考える

 

この考え方をベースに、毎月分配型の投資信託ではどのような運用イメージになるかを見ていきたいと思います。

2. 毎月分配型・投資信託の運用イメージ

配当金のある投資信託の場合、年に1回もしくは2回分配金があるケースが多く、その場合の配当金と譲渡金のイメージは先ほどの図のようになります。

では、毎月分配型の場合はどのようになるでしょうか?

毎月分配型・投資信託の運用イメージ

毎月分配型の投資信託の場合、ファンドは毎月得られた収益を投資家に分配することになります。

仮に投資信託の運用によって得られた収益を、常に投資家に還元していたとした場合、常に一定の資産額で運用を行うことになり、何年経っても基準価額は変わりません。

そのため、このような毎月分散型の投資信託の場合、頻繁に分配金を受け取ることはできますが、譲渡益は受け取れないことになります。

※ここでは運用イメージの理解を優先し、加入者が増えることによる資産額の増加は除いています。
※現実には、基準価額が全く変動しないことはあり得ないため、少なからず譲渡損益が発生します。

次に、毎月分配型と配当金なしで得られる利益がどの程度変わるかをシミュレーションしてみたいと思います。

3. 毎月分配型 vs 配当金なしのシミュレーション

ここでは、年利105%で運用したときの毎月分散型と分配金なしの資産運用結果をシミュレーションしてみます。

ただし、ここではいくつかの前提条件を置いた上で簡略化したシミュレーションを行っていますので、数値はあくまで参考に留め、実際に投資を行う際にはご自身で計算を行うか、または専門家に相談した上で、投資を行うようにしましょう。

分配金なしvs毎月分配型の利益シミュレーション

仮に100万円を20年間運用した場合、このように分配金なしの投資信託で運用した方が最終的な資産は大きくなります。

なぜ、このような差が生まれるかというと、分配金なしの場合は複利の効果が得られるためです。

毎月分配型の場合、投資のベースとなっている金額である基準価額がずっと100万円であるため、受け取ることができる分配金は20年目でも5万円で変わりません。

一方で、分配なしの場合は、毎年増えた資産をさらに運用することになるため、年を経るごとに増える金額が増えていきます。

具体的には、経過年ごとの増加額は次のようになります。

  • 投資開始から1年後は、+5万円と毎月分配型と変わらない
  • 投資開始から9年後から10年後にかけては、+8万円へと増加
  • 投資開始から19年後から20年後にかけては、+12万円へとさらに増加

これが、分配なしの投資信託が長期の資産運用に向いている理由であり、毎月分配型が長期の資産運用に向かないとされる理由です。

※ただし、毎月分配型の場合、受け取った現金を再度投資に回すことで利回りを高める運用も考えられます。ただし、現金を受け取る際に税金が発生しますので、税金を考慮した再投資を考えると、やはり配当金なしの投資信託が有利だと言えます。

また、つみたてNISAはNISAよりも長期投資に向いた制度設計が行われていますが、つみたてNISAでは毎月分配型の投資信託は扱うことができません。(金融庁「つみたてNISAの会議・法令等」より)

投資初心者にNISAがおすすめな理由、種類と制度のポイントも解説

このことからも、毎月分散型の投資信託が長期投資に向かないことが分かります。

ただし、毎月分配型に限らず定期的に分配金がある投資信託にも当然メリットはあります。

長期投資の裏返しになりますが、配当金なしの投資信託の場合、投資信託を売却するまでは実際に現金を受け取ることはできません。

一方で、分配金のある投資信託の場合は、定期的に現金を受け取ることができます

つまり、高齢層で生活費の足しとして定期的に受け取りたい場合や、教育資金などのように数年後に必要となる資金のために運用したいと考えている場合には、配当金ありの投資信託も選択肢になります。

ただし、その場合でも本当に毎月分配が必要かどうかは考える必要があります。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

分配型の投資信託は定期的に現金を受け取ることができますが、特に毎月分配型の投資信託は長期投資向きではありません。

特に老後資金に向けた資産運用を行う場合には、長期視点で運用商品を選択する必要があります。

実際に「長期投資に向いた投資信託を知りたい」「老後資金のための資産運用を行いたい」といった方や「定年後に定期的に分配金を受け取りながら投資を続けたい」といった方は、1度アドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか?

相談料は無料ですので、実際に投資・資産運用を行うかどうかはアドバイスを聞いた上で判断しても良いと思います。

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※この記事は、一般的な投資信託の特性を説明することを目的としています。
※投資信託の活用を含め、投資の実行を推奨するものではありません。
※実際の投資にはリスクを伴い、思わぬ損害を被る場合もあります。個別商品のリスクや手数料については、ご自身でご確認ください。