リスクの高い集中投資から分散投資の必要性を考える

投資・資産運用をするときに、「分散投資」という考えをよく目にすると思います。

実際、分散投資は資産運用を行うときの基本的な考え方です。

ただ、まだ投資を始めていない、または始めたばかりの人の中には、運用で本当に資産が増えるのか、そういった感覚が持てていない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、なぜ分散投資をする必要があるのか、逆の行動である集中投資を行う場合のリスクから考えてみたいと思います。

1. 資産は上昇・下落を繰り返す

投資・資産運用に関する次のような話を耳にしたことはありますか?

  • アベノミクスで株価が上昇して資産が増えた
  • アメリカ株で資産が増えた
  • 東南アジアを中心にした新興国が良いらしい

そういった話を聞くと、「自分も買っておけばよかった」と思うかもしれません。

この表は、資産別に10年間の年利を表しています。(投資信託の評価を行っているモーニングスター社公表)

(出典:モーニングスター「資産クラス別リターン(円換算あり)」

少し分かりづらいかもしれないので、新興国株式の変動に焦点を当ててみます。

(出典:モーニングスター「資産クラス別リターン(円換算あり)」

こうしてみると、新興国株式は上がったり下がったりを繰り返していて、マイナスになっている年もあります。

これは、新興国株式に限った話ではなく、他の資産も同じように上がったり下がったりを繰り返しています。

ただ、このような表を見ていると「2017年は新興国株式を買って、2020年はコモディティ・金を買っていれば儲かったのか」と思う方もいるかもしれません。

しかし、実際には事前に何が値上がりするかを予測することは非常に困難です。

例えば、2017年に新興国株式が好調だったことを受けて、2018年にも新興国株式に投資をし続けていたとします。

ただ、先ほどのグラフを改めて見て分かる通り、新興国株式は2018年には大きく値下がりしています。

2. 集中投資のリスク

集中投資を行った場合のリスクを、例を元に考えてみたいと思います。

例えば、3人の投資家がいて、3人とも「新興国株式」に投資をするケースを考えてみます。

このグラフは、2009年以降の新興国株式の年利の変動です。

新興国株式の年利の変化

2009年から2020年までの新興国株式の平均利回りは、約11.9%です。

仮に2009年に100万円を投資してずっと保有していた場合、2020年には約282万円になっていますので、非常にリターンが大きいと言えます。

しかし、グラフを見て分かる通り、変動が大きいため、いつ買っていつ売るかによって得られる結果は変わってきます。

また、このグラフの前年、2008年には世界的な金融危機であるリーマンショックが起こっています。

この時の経験なども投資行動に大きく影響してきます。

そういったことも踏まえて、3人の投資行動を考えてみましょう。

1)積極的だが利益確定の早いAさん

Aさんは、リーマンショックで資産を大きく減らしたものの、減った分を取り戻そうと積極的に投資を行う考えです。

  • 日本株に投資をしていたが、リーマンショックで4割ほど資産を減らす
  • 2009年に新興国株式への投資を開始

先ほどのグラフの通り、2009年に新興国株式は83%と非常に高い利回りになっています。

しかし、リーマンショックを経験したばかりのAさんは、大きく下落することを恐れて、少し上がったら利益を確定させる考えでいたため、30%値上がりした時点で売却。

このように、大きく損をする一方で、利益は早々に確定してしまう投資行動はよくある例の1つです。

株価の分析

2)市場が上昇してから動くBさん

Bさんは、リーマンショックによる値下がりを経験したことから、様子を見て、市場が上昇してきた時点で投資再開を決めました。

  • 2009年は投資を控え、市場の動向を様子見
  • 2009年に市場が上昇してくるのを見て、投資再開を考える
  • 2009年に83%と非常に高い利回りだった、新興国株式に期待して投資

ところが、新興国株式は、Bさんが投資を始めた2010年からはあまり年利が良くありません。

2010年の年利は4.8%、続く2011年は-23.6%まで下落してしまいます。

Bさんは、リーマンショックのときにどこかで下落が収束することを期待して、売却しなかったことで、トータルの損失が大きくなることを経験しています。

そのため、今回は同じ事態にならないよう2011年に10%ほどの損失がある状態で、早々に売却してしまうことにしました。

3)塩漬け状態で投資から離れるCさん

Cさんは、売却して損失を確定させることを嫌がり、またマイナスの数字を見たくないので市場を見ることをやめてしまいました。

  • Bさん同様に、大きな成長を期待して2010年に新興国株式に投資
  • 2011年の下落から、相場を見るのが嫌になり塩漬け状態に
  • 2012年の回復を見て、ほとんど元値で売却

2011年に新興国株式が下落し始めてから、損失の確定が嫌で投資から離れていたCさんは、2012年にニュースで世界的な株価上昇を目にして、口座を確認します。

そして、一時的なマイナスはあったものの、売らなかったおかげで損をせずに済んで良かったと思い、ほとんど利益はない状態で売却します。

実は、この時点で売却せずにその後もずっと保有し続けていた場合、2020年には約1.5倍ほどになっています。

ですが、損失回避行動から、Cさんのような行動を取る人も少なくありません。

3人の投資行動から考えられること

ここまで、よくある投資行動例を見てきました。

あくまで例ではありますが、この3つの行動はよくあるパターンです。

いずれにせよ、この3つの投資行動で順調に資産は増やせるでしょうか?

おそらく難しいと思います。

Aさんは一時的に大きなリターンが得られたものの、そもそもリーマンショックの損失を取り返せていないと考えられます。(リーマンショックでは株式が4割ほど下落しています。その投資と同等額、新しい投資ができる人はほとんどいないため。)

また、Bさんはリーマンショックに続き、今回も損失を出しているため、投資を継続しない可能性があります。

Cさんも、投資期間を不安な気持ちで過ごし、結果的に利益が得られていないため、投資をやめてしまうかもしれません。

まとめ

このように、どのような資産でも必ず浮き沈みがあります。

そのため、1つの資産に集中的に投資を行った場合、相場の上がり・下がりに振り回されてしまいます。

その結果、投資に疲れてしまい、投資そのものをやめてしまう人が本当にたくさんいます。

分散投資をするメリットは、そのように1つ1つの資産の上下に振り回されることなく、トータルで自分の資産を見ることができ、長期的に投資が続けられることだと言えます。

分散投資をうまく取り入れて、本業に集中しながら資産も増やせる、そんな賢い投資家を目指しましょう。

また、「実際に資産形成を始めたい」「投資を始めたいけど、やり方が分からない」「どうやって分散投資をしたらいいか知りたい」といった方は、ぜひ1度お気軽にご相談ください。

※本ページに記載されている内容は2021年3月15日時点のものです
※記載内容に誤りがある場合、ご意見がある方はこちらからお問い合わせください

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