分散投資の効果を測る「相関係数」とは

投資・資産運用をするときに、「分散投資」という考えをよく目にすると思います。

実際、分散投資は資産運用を行うときの基本的な考え方です。

ただ、分散投資の考えは理解できても、実際にどのような資産に分散すれば良いのでしょうか?

この記事では、分散対象の資産について考えてみたいと思います。

1. どのような資産に分散するか

分散投資は、やらないよりもやった方がいいことは間違いありません。

ただ、闇雲に分散していてはその恩恵を十分に受けられない可能性があります。

分散投資を行うときには、効果的に分散させることを意識したいです。

そこで、効果的な分散投資を考えるときに参考にしたい考えが「相関関係」です。

投資の世界では2つの資産の関連を表すときに「相関関係」と言葉を使い、その数値は「相関係数」を使って表します。

※分散投資の必要性・基本を知りたい方は、先にこちらの記事を読むと理解が進むと思いますので、合わせてどうぞ。

ポートフォリオを考える

リスクの高い集中投資から分散投資の必要性を考える

株価の変化とお金

分散投資でリスクを抑えた運用は安定的に資産を最大化する鍵

 

2. 分散投資効果の参考になる相関係数

相関係数は、ある2つの資産の値動きの相関関係、つまりどの程度連動した動きをするかを数値化したものです。

相関係数は+1 から -1 までの数値で表し、それぞれ次のような意味を持ちます。

  • +1に近いほど、連動性が高い(同じ値動きをする)
  • 0に近い場合、連動性がない(値動きに相関がない)
  • -1に近いほど、逆の連動性が高い(逆の値動きをする)

実際に相関係数を見てみましょう。

こちらは、2つの資産の相関係数の表です。

JPモルガンの相関係数

(出所:J.P.Morgan Asset Management 「Guide to the Markets Japan | 2Q 2019 | As of March31, 2019」より抜粋)

左下の白地部分は直近3年間の相関係数、右上のグレー部分は直近10年間の相関係数になっています。

そのため、最近の傾向と長期間で見たときの傾向をつかむことができます。

2. 実際に相関関係を見てみる

ポートフォリオを考える

具体的に、日本株式との相関関係を見ながら、分散効果の高い資産を考えてみましょう。

1)日本株式と債券の相関関係

一般的に、株式と債券は逆の動きをすると言われています。

株価が上がるときには債券価格は下がり、株価が下がるときには債券価格は上がるということ、相関係数はマイナスになります。

実際に先ほどの表を見てみると、次のことが分かります。

  1. 日本国債とは、逆の相関関係がある
  2. 米国10年国債とは、さらに強い逆の相関関係がある
  3. 米国ハイ・イールド債券、新興国国債とは相関関係があり、逆の相関関係になっていない

このことから、日本株式と合わせて保有することで分散効果が得られるのは、日本国債と米国10年国債だと言えます。

相関係数では米国10年国債の方が分散効果が高いように見えますが、実際には日本国債の方が高いと言われています。

理由を少し補足します。

米国10年国債は米ドル建ての評価になり、株価が暴落するときには合わせて円高ドル安が進む傾向があります。

そのため、結局円に換算すると米国10年国債の資産価値は下落している可能性があります。

ただし、日本国債は超低金利の状態が続いているため、多く組み入れてしまうと、トータルで得られる年利が低くなってしまいます。

そのため、自分の目指すリスク許容度とのバランスで資産の比率を考える必要があります。

 

また、同じ債券であっても米国ハイ・イールド債と新興国国債は通常の相関関係になっています。

つまり、日本株式と同じような値動きをするということです。

そのため、日本株式とこれらの資産を保有した場合、値下がりするときには程度の差はあるにしろ、どちらも値下がりしてしまうことになります。

そのため、リスク分散の効果は低いと言えます。

特に新興国の債券は、単純な相関関係だけでなく、為替変動の影響も考慮して考える必要があります。

2)日本株式と金の相関関係

先ほどの表には記載されて居ませんが、株との分散投資効果が高いのは現物資産である「金」だと言われています。

「有事の金」と言われるように、戦争や不況になった場合には金の価格が上昇することが多いです。

そのため、株式投資を行う場合には「金」を保有することを考えても良いと思います。

「金」を投資対象としたETFなどもありますので、実物保有の不安なく、小額から投資を行うこともできます。

3)日本株式とJ-REITの相関関係

また、J-REITは相関係数を見ると日本株式と連動した数値になっています。

※J-REITは、国内で上場している不動産投資法人のことで、小額から不動産投資ができる仕組です。

しかし、近年の値動きを見ると、逆の相関関係を示す動きをしていることが多くなっています。

(出典:モーニングスター社Webサイト「資産クラス別リターン(円換算あり)」)

このため、分散投資効果を得るために、株式投資と合わせてJ-REITをポートフォリオに組み入れる人も増えてきているようです。

まとめ

この記事では、分散投資効果を測る指標である「相関係数」をご紹介しました。

相関係数だけで完全に測れるわけではありませんが、2つの資産の相関関係を知る有効な手段です。

ぜひ、分散投資を行う際に使ってみてください。

また、「より詳しく知りたい」「実際にどう分散投資するか相談したい」といった方は、ぜひ1度お気軽にご相談ください。


 

※本ページに記載されている内容は2021年3月16日時点のものです
※記載内容に誤りがある場合、ご意見がある方はこちらからお問い合わせください

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