分散投資、基本の資産配分とメリット・デメリットを考える

投資・資産運用をするときに、「分散投資」という考えをよく目にすると思います。

分散投資は資産運用を行うときの基本的な考え方です。

ただ実際に分散投資を行うときには、分散投資の必要性と合わせて実際にどのように資産を分散すれば良いかを知る必要があります。

この記事では、具体的に基本的な資産配分を見ていきたいと思います。

1. 資産配分の基本

ここでは、具体的に次の資産配分の組み合わせを見ていきます。

  1. 株式と債券
  2. 地域分散(海外資産を組み込む)
  3. 全世界分散の組み込み
  4. その他資産の組み込み

また、これら資産の組み合わせは、相関関係を知ることで分散投資の効果を大きくすることができます。

相関関係について詳しく知りたい人は、こちらの記事をどうぞ。

ポートフォリオの管理

分散投資の効果を測る「相関係数」とは

ここからは、代表的な組み合わせを見ていきます。


1)株式と債券

資産配分の基本は、株式と債券の組み合わせです。

その理由は次の2つです。

  1. 株式に比べて債券はリスクが低い
  2. 株式と債券は、一般的に逆の相関関係がある ※

※株式が値下がりするとき、債券は値上がりする傾向があることを指します。(ただし、商品によっても傾向は異なります。)

そのため、株式と債券を組み合わせることによって、リスクとリターンを調整することができます。

  • 債券の比率を高くする
      → 値動きが小さくなり、ローリスク・ローリターンの「安定運用」になる
  • 株式の比率を高くする
      → 値動きが大きくなり、ハイリスク・ハイリターンの「積極運用」に近づく

2)地域分散(海外資産を組み込む)

次に、株式と債券の組み合わせに、地域分散の要素を取り入れます。

地域分散を取り入れるメリットは、その地域特有の課題・リスクを軽減できる点です。

例えば、日本は少子高齢化により人口減少が進行しているため、長期的にGDPや株式市場の成長に懸念があります。

それに対し、世界の人口は増え続けていて、世界全体で見た株式市場は成長を続けています。

そのため、日本の抱えるリスクを軽減するには、海外資産を組み込むことは必須と言えます。

ただし、海外資産は通貨の価格変動による為替リスクがあります。

資産そのものの値動きに、為替変動が加わるため、国内資産より不確実性の意味でリスクは高くなります。

また、地域分散を考えるときに、考慮すべき考えに「ホームバイアス」があります。

地域分散ではホームバイアスを意識する

ホームバイアスとは、投資を行う際に自国の資産に偏った投資を行ってしまうことです。

これは、多くの人が身に覚えがあるのではないでしょうか。

例えば株式投資を始めようとしたときに、ほとんどの日本人はまず日本株への投資を考えると思います。

ですが、少し俯瞰して見ると、日本株が世界の株式時価総額に占める割合は約8%です。

先ほど例にしたポートフォリオでは、日本株への投資を25%にしていました。

つまり、このポートフォリオは「ホームバイアスが掛かった状態」だと言えます。

このように、バイアスは無意識に掛かるものなので、自分のポートフォリオにホームバイアスが掛かっているかどうかを、意識的にチェックしてみることをおすすめします。

また、ホームバイアスを回避するには、日本株・外国株という分け方ではなく、全世界の株式を投資対象にした投資信託を利用する方法もあります。


3)全世界分散の組み込み

広く地域分散の考えを取り込める方法が、全世界株式への投資を組み込むことです。

先ほど、日本株が世界株式に占める時価総額の割合は約8%と紹介しました。

 

全世界の株式を投資対象とする投資信託は、このようにそれぞれの国の株式の占める割合を、投資配分の構成比にしているものが多いようです。

一部を紹介すると、その構成比は次のようになっています。

  • 米国株:約50%
  • 日本株:約8%
  • 新興国株:約10%

これをみると、いかに米国市場が大きいか、その影響力が理解できます。

このように、1つの投資信託で全世界に投資できるメリットがある一方、「リスク・リターンの微調整が難しい」「手数料がやや高い」点に注意が必要です。

 

① リスク・リターンの微調整が難しい

自分の投資スタイルに合わせて、リスクとリターンを微調整することは難しいです。

例えば、新興国の成長に期待して、配分を多めにしたいと思っても、全世界株式の投資信託では各国の時価総額に応じた資産配分などが決められているため、個別に変更することはできません

そのような調整がしたい場合は、次のような方法を取る必要があります。

  1. 別に、新興国に投資するファンドなどを組み入れる
  2. 新興国への投資配分比率が高いファンドを選択する

② 手数料がやや高い

もう1つの注意点は、日本・先進国・新興国株式などの、個別ファンドに投資するよりもコストが高くなりやすいことです。

例えば、全世界株式の投資信託と同じ考え方で、日本株8%、新興国株10%、残りを日本を除く先進国株式の割合で投資するのであれば、それぞれのファンドに投資した方がトータル・コストは低くなる可能性があります。

ただし、ファンドの本数が増えると資産運用の手間は増えます。

売買、日常的な資産管理、中期的には資産配分の組み替えといったことを行う必要があります。

手間を掛けてコストを抑えるか、多少コストが掛かっても少ない商品で楽に資産運用する、どちらのスタイルが自分に合っているかを考えて投資する必要があります。

 

4)その他の資産の組み入れ

ここまでは、代表的な資産との組み合わせを見てきましたが、それ以外の資産を組み入れる考えもあります。

世の中には非常に多くの金融商品があり、株式・債券・投資信託以外には次のようなものがあります。

  • REIT(不動産を投資対象とした投資信託)
  • コモディティ(金、原油などの現物資産)

これらの商品を組み込む場合は、自分が保有している資産との相関関係から、分散投資の効果があるかを考えることが大切です。

ポートフォリオの管理

分散投資の効果を測る「相関係数」とは

また、これらの資産の中には、値動きの大きいリスクが高い商品もあるため、リスク許容度も考えて組み入れ比率を考えましょう。

許容できるリスクを考える

ポートフォリオを考える

ここまで、基本的な資産配分と考え方を見てきました。

では、次に自分にはどのポートフォリオが合っているのかを考えてみましょう。

軸となる考え方は、「年齢」「保有資産」「性格・投資経験」から考える、許容リスクの大きさです。

1)年齢による許容リスク

「株式比率 = 100 - 年齢」の式で、投資配分を決める考えがあります。

年齢が若く、投資期間が長い場合は、株式比率を高めてより高いリターンを目指す考え方です。

この式に当てはめると、次のようになります。

  • 30歳の人であれば、「株式70:債券30」と株式を重視した積極的な運用
  • 60歳の人であれば、「株式40:債券60」と安定性を重視した運用

1つの目安ではありますが、若いうちは積極的に運用し、年齢が上がってきたらリスクを抑えた安定性を重視する考えです。

2)保有資産による許容リスク

例えば、資産が100万円値下がりすることを考えたときに、保有資産によって捉え方は異なります。

おそらく、資産状況によって、このように考える人が多いのではないでしょうか?

  • 資産が100万円の場合
      → 到底許容できない人がほとんど
  • 資産が1,000万円の場合
      → 人によって許容できるかどうかが分かれる
  • 資産が1億円の場合
      → 多くの人は許容できる

全体の保有資産や、保有資産に占める投資金額の割合によっても、考え方は変わってきます。

一方で、資産形成をしていく上で、ある程度の投資額は必要です。

そのため、求めるリターンと許容できるリスクのバランスを取る必要があります。

3)性格・投資経験による許容リスク

年齢・保有資産によって許容リスクは変わってきますが、最後は性格・投資経験によるところが大きいと言えます。

どんなに若くても、それなりの総資産があったとしても、大きな値動きに耐えられない人もいると思います。

ただ、性格自体を変えることは難しいですが、投資経験が増えるにつれて許容リスクは広がる可能性があります。

一時的に値下がりしても、長期的には戻ってくることなどを経験することで、多少の値下がりでは動揺しなくなるためです。

許容リスクが大きくなると、投資の選択肢は増えます。

まずは、自分の許容リスクを元にポートフォリオを考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

この記事では、基本的な資産配分の考え方についてお伝えしました。

実際には、現預金比率や保有資産も考える必要があるため、このようなシンプルなポートフォリオにはならないと思います。

ですが、まずは基本を押さえた上で、自分に合ったポートフォリオを作ることが大切です。

ぜひ、相関関係も意識して資産配分を考えてみてください。

また、「より詳しく知りたい」「ポートフォリオの作り方を相談したい」といった方は、ぜひ1度お気軽にご相談ください。


 

※本ページに記載されている内容は2021年3月17日時点のものです
※記載内容に誤りがある場合、ご意見がある方はこちらからお問い合わせください

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