分散投資の基本、積立投資で時間を分散

投資・資産運用をするときに、「分散投資」という考えをよく目にすると思います。

分散投資は資産運用を行うときの基本的な考え方です。

そして、実際に分散投資を行うときには、資産の分散を行うことはもちろん、時間を分散することも必要です。

この記事では、時間を分散する積立投資を考えてみたいと思います。

積立投資のメリット4つ

分散投資をする最大のメリットは、資産を分散することで全体のリスクを抑えられることです。

ただ、商品の価格は常に変動していますので、積立投資を行うことで購入時の価格変動リスクも分散することができます。

これがもう1つの分散、「時間を分散する」考え方です。

資産配分について、こちらの記事で詳細に説明していますので、合わせてどうぞ。

ポートフォリオの管理

分散投資、基本の資産配分とメリット・デメリットを考える

時間を分散するメリットは大きく4つあります。

  1. 平均買付価格を下げられる
  2. 価格上昇のチャンスを逃さない
  3. 感情に左右されない
  4. 少額から始められる

1つずつ説明します。


1)平均買付価格を下げられる

ドル・コスト平均法をご存知ですか?

ドル・コスト平均法は、毎月一定の額を買い付ける投資手法です。

この手法を使うと、安いときに多く買って、高いときには買い控えることになります。

その結果、平均買付価格を抑えることができます。

投資信託協会のガイドブックでは、次のように説明されています。

ドル・コスト平均法とは、長期にわたって定期的に、一定金額で同一の商品を買い付けていく投資方法で、高い時に買い過ぎたり、安い時に買い損ねたりすることを避けることができる投資方法です。

投資信託の場合、基準価額が高いときに購入口数が少なくなりますが、低い時には購入口数が多くなり、結果として平均買付金額を引き下げる効果が期待できる場合もあります。

ドル・コスト平均法での買い方は、投資信託の積立投資プランで行うことができます。

長い時間 をかけてじっくり資産形成をしたい、という場合に向いている投資の方法です。

一般社団法人投資信託協会「わかりやすい投資信託ガイド」より抜粋

つみたてNISAは、まさにドル・コスト平均法が仕組み化された制度です。

具体的に、得られるメリットを見てみましょう。


① ドル・コスト平均法と定量購入の平均買付価格

ドル・コスト平均法は定額購入とも言いますが、似たような購入方式に定量購入があります。

定量購入は文字通り、一定の口数を定期的に購入する手法です。

実際に、ドル・コスト平均法と定量購入の違いを比較したのが次のグラフ・表です。

※一般社団法人投資信託協会「わかりやすい投資信託ガイド」を元に筆者作成

定量購入では、価格が高くても低くても同じ口数を購入します。

一方で、ドル・コスト平均法では、安いとき(B, D)は多く買い付けて、高いとき(C, E)は少なく買い付けることになります。

そのため、全体として平均の買付価格を抑えることができます。


② バブル期の高値から積立投資を継続した場合

先ほどの例でも、買付価格が抑えられることは理解できると思います。

しかし、サンプル数が少ないため、その重要性はあまりピンとこなかったかもしれません。

そこで、長期積立投資の効果を実感できる例を紹介したいと思います。

このグラフは、バブル期の最高値1990年から2019年まで、毎月1万円の積立投資を行った場合の資産推移のシミュレーションです。

出典:J.P.Morgan Asset Management 「Guide to the Markets Japan | 2Q 2019 | As of March31, 2019」より抜粋

日経平均株価は、1989年末に最高値38,957円を付け、その後下落が始まり長期的な低迷期に入りました。

シミュレーションは、30年と長期ではありますが、毎月の積立額は1万円ですので、多くの人が実践可能な投資だったと言えます。

そして、このシミュレーションから言えることは、日本株式というパフォーマンスの悪い資産でも、長期積立投資によって恩恵が受けられるということです。

  • 約30年間で、+165万円(約147%)の評価益 ※2019年3月末時点
  • 2013年以前は、投資額に対してマイナスになっている年が多い
  • 低迷期にも積立投資を行っていた結果、買付価格が抑えられて、2013年以降の株価回復に伴い資産も大きく増加

実際には、このような株価の状況下で、積立投資を続けるのは簡単ではありません。

積立投資にはある程度の時間が必要であることは間違いありませんが、この例を取り上げたのは、低迷していた日本株でも長期積立投資によって利益を上げることができるという点です。

もちろん、もっと効率の良い投資を行うために、資産の分散を行う必要があります。

資産分散と、時間の分散をうまく活用して投資を行うことが大切です。


2)投資を続けることでチャンスを逃さない

株価は短期間で大幅に下落することもあれば、反対に上昇することもあります。

相場を見て売買するやり方では、相場の大幅上昇を捉えることは難しいと言えます。

投資のプロであれば、それも可能かもしれませんが、資産運用をする人のほとんどは、本業を抱えていると思いますので現実的ではありません。

一方で、資産を増やす上では、相場の上昇を捉えることが重要であることを示すデータがあります。

(出所:J.P.Morgan Asset Management 「Guide to the Markets Japan | 2Q 2019 | As of March31, 2019」より抜粋)

このグラフは米国S&P500指数(日経平均株価のように米国株を代表する株価指数)を元に、株価が上昇した日に投資していた場合と、投資していない日がある場合の違いを表しています。

このシミュレーションでは、1988年に1万ドルで投資を始めてから、2019年3月末までずっと投資をしていた場合と、大幅上昇した日に投資がある場合では次のような結果の違いがあるとしています。

  • ずっと投資をしていた場合:221,259ドル
  • 大幅上昇の上位5日間に投資していない場合:146,782ドル(▲74,477、▲33.7%)
  • 大幅上昇の上位40日間に投資していない場合:30,560ドル(▲190,699、▲86.2%)

約30年間のうち、40日間投資していない日があった場合、ずっと投資を続けていた人と86%もの差が生じるとしています。

このデータが言いたいことは、いかに投資を続けることが大切か、ということです。

長期積立投資を行、保有し続ける・投資を継続することが重要です。


3)感情に左右されずに投資を続けられる

毎月一定額を積み立てるということは、短期的な値下がり・値上がりを気しない相場を予想しないことでもあります。

先ほどの日経平均も、毎日・毎月のように株価を気にする人であれば、30年間投資を続けることはできないでしょう。

逆に積立投資を行うことは、日々の株価のチェックや売買のタイミングを考えること、一喜一憂することから開放してくれます。

本業に集中しつつ資産形成を行っていくには、長期積立投資は良い手段だと考えられます。


4)少額から投資を始められる

これは積立投資に限った話ではありませんが、まとまった資金がなくても、少額から始められることです。

投資信託やETFを使えば、不動産のREITや全世界株式への投資も小さく始めることができます。

積立投資は、結果が出るまでに時間が掛かります。

まとまった資金が貯まるまで待つことなく、今すぐに始められることは大きなメリットです。

 

まとめ

この記事では、積立投資による時間分散のメリットを見てきました。

  1. ドル・コスト平均法を使えば、平均買付価格を抑えることができる
  2. 保有し続ける、投資を続けることが大切
  3. 感情に左右されずに投資が継続できる
  4. 少額から投資を始められる

機関投資家は、短期的な利益を求められることもあります。

しかし、私たち個人投資家は将来や老後に備えて、焦らず長期投資を行うことができます。

そのメリットを最大限活かした投資を行っていきましょう。

また、「より詳しく知りたい」「実際にどう積立投資するか相談したい」といった方は、ぜひ1度お気軽にご相談ください。


 

※本ページに記載されている内容は2021年3月17日時点のものです
※記載内容に誤りがある場合、ご意見がある方はこちらからお問い合わせください

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