改めて分散投資のリスクとリターンの関係性を考える

投資・資産運用をするときに、「分散投資」という考えをよく目にすると思います。

分散投資は資産運用を行うときの基本的な考え方です。

そして、分散投資に限らず、投資・資産運用の話をするときに、必ず出てくる言葉が「リスク」と「リターン」です。

この記事では、改めてリスクとリターンの関係性を考えてたいと思います。

1. そもそもリスクとは?

リスクは「危険なもの、危ないこと」と認識している人が多いと思います。

ただ、リスクには本来「可能性」の意味があり、投資におけるリスクは「リターンの振れ幅」のことを指します。

  • リスクが小さい = 振れ幅が小さい、リターンの価格変動が小さい
  • リスクが大きい = 振れ幅が大きい、リターンの価格変動が大きい

これを図で表すと、次のようなイメージになります。

出典:日本証券業協会『投資の時間』

そのため、リスク大きいとは、大きなリターンを得られる可能性もあるが、大きな損失が出る可能性もある状態です。

2. リスクを数値化する

先ほど見たように、リスクはブレの大きさのことであり、数値化することができ、統計学で使う「標準偏差」で表すことができます。

ここでは、標準偏差の考え方を簡単に見てみますが、難しいと感じた方は飛ばしてもらって構いません。

平均リターンが5%、15%のリスクがある商品があったとします。

その場合、標準偏差では次の図のイメージになります。

【図3】標準偏差の正規分布図(to-kei.netの図を元に筆者作成)

この図、つまり平均リターン5%、標準偏差=リスク15%の金融商品は次の意味になります。

  • 平均リターンは5%
  • リターンが-10%〜+20%(平均±15%)に入る確率が68%
  • リターンが-25%〜+35%(平均±30%)に入る確率が95%

ただし、平均リターンやリスクの値は、過去のデータに基づいて作成されています。

そのため、データが少ない場合は正確性は低くなります。

また、あくまで確率を表すものであるため、低い確率のことが起こらないわけではありません。

実際、リーマンショックのときには、多くの資産が99.7%である-3σを下回った状態になりました。(つまり、発生確率0.3%以下という、統計上ほとんど起こりそうにないと言えるレベルまで落ち込んだということです。)

3. リスクとリターンの関係性

メリットとデメリット

リスクとリターン(年利)は、基本的に比例する関係です。

  • リターン(年利)の期待が高い資産 → リスクが高い
  • リターン(年利)の期待が低い資産 → リスクが低い

言い換えると、次のようになります。

  1. ローリスク・ローリターン
      → 大きく儲かることはないが、損をする可能性も低い
  2. ミドルリスク・ミドルリターン
      → それなりに儲かる可能性も、損をする可能性もある
  3. ハイリスク・ハイリターン
      → 大きく儲かる可能性があるが、同じくらい損をする可能性もある

そのため、ローリスク・ハイリターンは原則あり得ない、何かがおかしいと考えるのが賢明です。

一例として、実際に資産別のリスクとリターンを見てみましょう。

【図2】各資産の過去20年のリスク・リターン(myINDEXより抜粋)

この図を見ると、次のように分類することができます。

ローリスク
・ローリターン
現金 現金は代表的な安定資産です。日本は超低金利が続いているため、現金では資産は増えません。
日本債券 債券も代表的な安定資産ですが、現金同様に日本債券の金利も低い状態が続いています。
ミドルリスク
・ミドルリターン
外国債券 特に新興国では年利の高い国債もありますが、為替リスクを伴うため、リスクは高くなります。
ハイリスク
・ハイリターン
日本株式 銘柄による違いもあるため、個別銘柄への投資はリスク・リターンともに高くなります。
外国株式 株式投資へのリスクに加え、為替リスクも伴うため、リスク・リターンともに高くなります。
外国不動産 外国株式同様に、不動産投資と為替リスクを伴います。
コモディティ
(金・原油など)
非常に変動が大きく、過去20年間ではマイナス・リターンになっています。一時的には非常に高いリターンになることもあるハイリスク資産の代表とも言えます。

この図や表から分かることは、次の2つです。

  1. ローリスク・ハイリターンはもちろん、ミドルリターンの資産も存在しない
  2. 高いリターンを得るためには、それなりのリスクを取る必要がある

そのため、性質の異なる資産をいくつか組み合わせることで、リスクを抑えつつ、求めるリターンを取りに行く考えが必要です。

それが、まさに分散投資の考え方になります。

資産を「コア」と「サテライト」に分ける考え方を、こちらの記事で紹介していますので、合わせてどうぞ。

長期投資の考え

積立投資のデメリットは?コア・サテライト戦略で考える

まとめ

この記事では、以下のことをお伝えしてきました。

  • リスクは危険ではなく、振れ幅の大きさ・可能性のこと
  • 標準偏差を使うと、リスクを数値化することができる
  • リスクとリターンは比例関係である

また、このリスクとリターンの関係性を理解していると、記事の内容もより理解が進むと思います。こちらの分散投資に関する記事も、合わせてお読みください。

  1. 分散投資でリスクを抑えることが重要
  2. リスクを抑えると、資産を増やしやすい
  3. 資産同士の相関関係から効果的に分散する
  4. 基本的なポートフォリオの構成と考え方
  5. 資産だけではなく、積立で時間を分散する
  6. コア・サテライトで投資手法を考える
  7. 1年毎にリバランスしてリスクを適正化

また、「より詳しく知りたい」「具体的に分散投資の相談がしたい」「今の資産分配が正しいか見て欲しい」といった方は、ぜひ1度お気軽にご相談ください。


 

※本ページに記載されている内容は2021年3月20日時点のものです
※記載内容に誤りがある場合、ご意見がある方はこちらからお問い合わせください

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